紙のマンガは脳にやさしい? 東京大学が実験で調べた
みなさんは、マンガをどこで読みますか。紙の本で読む人もいれば、タブレットやスマートフォンの画面で読む人もいると思います。同じマンガでも、紙で読むときと画面で読むときとで、頭の中の働きにちがいはあるのでしょうか。このぎもんを、本物の脳を調べる実験でたしかめた研究が発表されました。
2026年6月4日、東京大学大学院総合文化研究科の酒井くによし教授の研究チームと、マンガを作る会社である株式会社コアミックスが、ある研究の結果を発表しました。それは、紙でマンガを読むほうが、タブレットで読むよりも、脳の働きが「省エネ」になるということを、脳科学の実験ではじめてたしかめた、というものです。
実験には、大学生と大学院生25名が参加しました。そのうち約半分は、ふだんからよくマンガを読む人たちです。題材には、いくつかの登場人物の見方が入れかわりながら進む『ザッピングストーリー』というつくりのマンガ、4話が使われました。
参加者は、まず前半を紙またはタブレットで読みます。その後、後半をMRIという大きな機械の中で読みながら、脳の働きを計りました。
すると、タブレットで読んだときのほうが、物語をまとめて考える問題に答えるまでの時間が、はっきりと長くなりました。また、紙で読んだ後は、言葉を考えるときに働く脳の場所(言語野)や、右の前のほうの脳の活動が少なくてすみ、むだなく働いていました。一方、タブレットで読んだ後は、助けになるような余分な脳の活動が残っていました。
この研究の論文は、PLOS Oneという科学のざっしにのりました。
今回出てきた「MRI」とは、体を切らずに、脳や体の中の様子を調べることができる大きな機械です。そのうち、脳のどこが活発に働いているかを調べる方法を「fMRI」といいます。「言語野」は、言葉を理解したり考えたりするときに働く、脳の中の場所のことです。「省エネ」は、少ない力でむだなく働く、という意味です。
今回の実験では、紙でマンガを読んだほうが、脳が少ない力で、むだなく物語を理解できることが分かりました。タブレットや画面はとても便利ですが、じっくり物語を味わいたいときには、紙の本で読むよさもあるのかもしれません。みなさんもこれから本を読むとき、紙と画面のちがいを少し考えてみると、おもしろい発見があるはずです。