舌のがんの「かたさ」をさわって知る 山形大学がキャラクター『ベロたん』を開発
みなさんは、お医者さんが体をそっとおしたり、さわったりして調べる様子を見たことがあるでしょうか。手でさわって体の中の変化を調べることを「触診」といいます。目には見えない体の中の変化でも、手につたわる「かたさ」から気づけることがあるのです。わたしたちの体は、いろいろな臓器がかかわり合って生命を保っています。その体をつくっている小さな細ぼうの一部が、まちがったふえ方をしてしまう病気が「がん」です。がんは、早く見つけるほど治りやすいと言われています。中でも、口の中や舌にできる「口腔がん」は、自分で鏡を見たり、指でさわったりして気づける可能性があります。しかし、がんのかたさが、ふだんの口の中とどうちがうのかを知っている人は、そう多くありません。
2026年5月13日、国立大学法人 山形大学(山形大学基金)は、研究者を寄付で支える仕組み「iDonate」の中で、一つのプロジェクトを紹介しました。山形大学医学部の石川恵生教授たちが進めている、「口腔がん」(舌がん)の「触診」モデルキャラクター『ベロたん』の開発プロジェクトです。『ベロたん』は、山形大学の医学部と工学部、そして会社が力を合わせて共同開発した「口腔がん」の「触診」モデルキャラクターです。世界でも有数の技術を応用し、舌がん独特の「かたさ」を再現することに成功しました。このプロジェクトの目的は、より多くの人に、がんのかたさを実さいにさわって知ってもらい、「口腔がん」の早期発見につなげることです。プロジェクトは「iDonate」の中で七番目(No.7)のものとしてのせられ、お礼の品(返礼品)がとどく寄付をよびかけています。石川恵生教授たちの研究は、今も進んでいるところです。
ここで、言葉の説明をします。「触診」とは、お医者さんが手で体にふれて、はれやかたさ、いたみなどを調べることです。「口腔」とは、くちびるの内がわから、のどの手前までの、口の中全体を指す言葉です。「iDonate」のような仕組みは「クラウドファンディング」と呼ばれ、インターネットを通して、多くの人から少しずつお金を集め、やりたいことを実現する方法です。研究は、国や県が集めた税金だけでなく、こうした一人一人の寄付にも支えられています。『ベロたん』にさわった人が、「がんのかたさは、これなのか」と体で覚えることができれば、自分や家族の体の変化に、早く気づけるかもしれません。医学と工学と会社という、ちがう立場の人たちが手をつなぐことで、命を守る新しい道具が生まれました。みなさんも、鏡の前で自分の口の中をのぞいてみてください。自分の体を知ることが、健康を守る第一歩になります。