使い終わったロケットが月にしょうとつする見通し NASAが観測を計画

夜空の月を望遠鏡で見ると、表面にたくさんの丸いくぼみがあることが分かります。これはクレーターと呼ばれ、多くは宇宙から飛んでくる石がぶつかってできたものです。ところで、宇宙にロケットを打ち上げたあと、使い終わったロケットの部品がどこへ行くのか、考えたことはありますか。今回、人間が打ち上げたロケットの一部が月にぶつかるという、めずらしい出来事が起ころうとしています。

アメリカのNASA(米航空宇宙局)とロケット会社のスペースXは、2026年8月4日(米東部時間)、スペースXのファルコン9ロケットの使用済みの上段(上の部分)が、8月5日に月にしょうとつする見通しだと発表しました。ぶつかる場所は、月のアインシュタイン・クレーターとベル・クレーターの近くと見られています。この上段は、2025年1月15日に、ファイアフライ・エアロスペース社の月着陸船ブルーゴースト1を打ち上げたときに使われたものです。この打ち上げは、NASAが民間の会社に月への輸送をまかせるCLPS(商業月輸送サービス)という計画のもとで行われました。上段はその後、太陽の活動と重力のえいきょうで、予定していなかったのに月の近くを回る道すじにもどってきてしまいました。
NASAの地球接近天体研究センター(CNEOS)は、月にしょうとつする確率は100%だと確認しています。しょうとつすると、はば約18メートル、深さ約3.7メートルの新しいクレーターができる見通しです。しょうとつの様子は地球から肉眼では見えませんが、NASAマーシャル宇宙飛行センターの流星などを調べるチームが、地上の望遠鏡でリアルタイムの観測を試みる予定です。ただし、天候や光の当たり方の条件によっては、観測がむずかしくなる可能性もあります。また、NASAの月周回衛星LROと、かん国の探査機KPLOにのせられたカメラのシャドーカムも、しょうとつの前後にさつえいする機会を探ります。NASAによると、このしょうとつで地球に危険はありません。月には大気がないため、いん石はいつも月にぶつかっていて、今回の上段と同じくらいのエネルギーを持ついん石は約6日に1回のペースで月にぶつかっている、とNASAは説明しています。
ここで、ニュースに出てきた言葉をふり返りましょう。「クレーター」とは、いん石などがぶつかったときにできる丸いくぼみのことです。「いん石」とは、宇宙を飛んでいる石や岩のかたまりが、月や地球などの天体に落ちてきたものです。地球では大気があるため多くはとちゅうで燃えつきますが、大気のない月にはそのままぶつかります。使い終わったロケットが月にぶつかる様子をくわしく観測できれば、月のクレーターがどのようにできるのかを知る手がかりになります。宇宙開発が進むこれからの時代には、使い終わったロケットの行き先を考えることも大切になっていきます。みなさんも夜空の月を見上げて、そこで起きている出来事を想像してみてはどうでしょうか。