1買い物客が、とつぜんさいがいの中に げきのようなぼうさいくんれん


絵の具やペンキを使わずに、真っ白な色を作ることはできるのでしょうか。ふつう、物に白い色をつけるときには「顔料」というものを使います。顔料とは、絵の具やペンキ、紙や食べ物などに色をつけるための、とても細かいこなのことです。今、白い色を出すために一番多く使われている顔料は、「酸化チタン」という白いこなです。

ところが、酸化チタンは、体の中の「遺伝子」(親から子へ体のつくりをつたえる、細ぼうの中の大切なもの)をきずつけるおそれがあると心配されています。そのため、EU(ヨーロッパの国々の集まり)は2022年に、酸化チタンを食べ物に入れて使うことをきんししました。白い色を作る新しいやり方が、もとめられていたのです。
こうした中で、京都大学アイセムスのEasan SivaniahさんやQin Detaoさん、東京都立大学の柳島大輝さんたちの研究グループは、顔料やとりょうを使わずに白い色を作る新しいやり方「ディープフォーム フォトリソグラフィ」を生み出しました。このやり方で、世界でもっとも高いレベルの白い色を作ることができたのです。研究グループは2026年9月10日、イギリスの科学ざっしNatureでこの成果を発表しました。この研究は、「科研費」(研究のために出されるお金)と、京都大学と三菱商事のStartup Catapultというしくみの助けを受けて行われました。ろんぶんの題名は『Foaming Photopolymers as a High-Resolution Biomimetic Printing Platform』です。
このやり方では、まず「ポリマー」(小さなつぶがくさりのように長くつながってできたざいりょうで、身近なプラスチックの多くがこのなかまです)に、「紫外線」(太陽の光にもふくまれている、目には見えない光)を当てます。次に、そのざいりょうをえきたいにつけます。すると、ざいりょうの中に、とても細かいあわのような形がたくさんできます。光がこのあわに当たると、あらゆる色の光が何度もはねかえされます。赤や青など、すべての色の光が同じようにはねかえると、人の目には白く見えます。こうして、酸化チタンにも負けないほどの白い色ができるのです。
このアイデアのヒントになったのは、東南アジアにすむコガネムシのなかま、キホキルスというグループの虫です。この虫は、5〜10マイクロメートル(1ミリメートルの200分の1から100分の1)というとてもうすい体の表面で、白い色を出しています。研究グループは、この虫のしくみをまねしたのです。
新しいやり方では、1インチ(およそ2.5センチメートル)の中に点を2万もならべられるほど、細かい絵やもようをえがくこともできます。また、水を強くはじく表面もいっしょにできました。これは、水や油をはじくために使われている「PFAS」というものの、かわりになると期待されています。このやり方は、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリスルホン、セルロースアセテート、PMMA、ペットボトルに使われるPETなど、さまざまなポリマーに使うことができます。