1光で脳の神経をあやつる研究にノーベル賞 アメリカとドイツの3人


地球は太陽のまわりを1年かけて回っていますが、その回り方や地球のじくのかたむきは、長い年月の間に少しずつ変わります。こうした地球の動き方を表す数のことを「軌道要素」といいます。じくのかたむきが変わると、北極や南極に近い地域に届く日光の量が変わり、気温にえいきょうします。

この軌道要素の変化を考えに入れると、大昔の地球の気候をこれまでより良く説明できることが、日本の研究チームの計算で分かりました。研究をしたのは、東京大学大気海洋研究所のあべあやこ教授とチャン・ウィン・レ特任研究員、東京科学大学地球生命研究所のひぐち太郎研究員と大石りゅう太研究員です。研究の結果をまとめた論文は、2026年7月22日に、Geophysical Research Letters(ジオフィジカル・リサーチ・レターズ)という科学の雑誌にのりました。
研究チームが調べたのは、約7000万年前の「白亜紀」後期の気候です。白亜紀とは、地球の長い歴史を区切った時代の一つの名前です。化石を調べた研究からは、このころの北極に近い地域は、産業革命の前より10度以上も気温が高く、とても暖かかったと推定されています。ところが、これまでのコンピューターによる計算では、この暖かさを十分には再現できていませんでした。
研究チームは、MIROC(ミロク)という全球気候モデルを使い、スーパーコンピューターで当時の気候をシミュレーションしました。全球気候モデルとは、地球全体の大気や海の動きを計算して、気候を再現するプログラムのことです。約7000万年前のマーストリヒチアン期と呼ばれる時期の大陸の配置を使い、空気中の二酸化炭素のこさだけでなく、軌道要素も変化させて計算しました。その結果、軌道要素の変化を考えに入れることで、化石から推定された北極の暖かさを、これまでより良く再現できることが分かりました。
なぜ軌道要素の変化がそれほど大きくきくのでしょうか。白亜紀後期には、今のような大きな「大陸氷床」、つまり陸の上をおおう大きな氷のかたまりがありませんでした。また、北半球の北極に近い地域には、今より広い陸地がありました。そのため、地球のじくのかたむきが変わったときの気温の変化が、今より大きくなっていたと考えられます。研究チームの計算では、北半球の北極に近い地域で、じくのかたむきが大きくなったときの気温の上がり方は、白亜紀では現代の数倍に達しました。