同おなじダニアレルギーなのに、かゆがるマウスとかゆがらないマウス

同じダニアレルギーなのに、かゆがるマウスとかゆがらないマウス
チリダニ 出典: Gilles San Martin from Namur, Belgium (CC BY-SA / Wikimedia Commons)

広島大学ひろしまだいがくと理化学研究所りかがくけんきゅうじょの研究けんきゅうチームが、2つのグループのマウスを使つかって、ダニのアレルギーをくらべるじっけんをしました。2つのグループのマウスは、親おやから子こへ受うけつがれて体からだのつくりを決きめる「遺伝子いでんし」が、まったく同おなじです。どちらのマウスのひふにも、ダニにふくまれるアレルギーを起おこすものをくり返かえしぬると、ひふが赤あかくはれる病気びょうき「アトピー性皮膚炎せいひふえん」とよくにた病気びょうきになりました。

同じダニアレルギーなのに、かゆがるマウスとかゆがらないマウス
チリダニ 出典: Gilles San Martin from Namur, Belgium (CC BY-SA / Wikimedia Commons)

ところが、1つだけ大おおきなちがいがありました。一方いっぽうのグループのマウスは、病気びょうきが進すすむにつれてはっきりとかゆがる行動こうどうを見みせましたが、もう一方いっぽうのグループのマウスは、かゆがる行動こうどうを見みせなかったのです。

どちらのマウスの体からだの中なかでも、アレルギーのときにふえる「IgE抗体こうたい」が作つくられ、ひふにはれを起おこすさいぼうが集あつまっていました。つまり、病気びょうきそのものは同おなじように起おきているのに、かゆみだけがちがっていたのです。

2つのグループでちがっていたのは、「T細胞さいぼう」の表面ひょうめんにある「T細胞受容体さいぼうじゅようたい」だけでした。T細胞さいぼうは、体からだに入はいってきたてきを見みつけて、やっつけるように命めいじる、血ちの中なかのさいぼうです。T細胞受容体さいぼうじゅようたいは、そのT細胞さいぼうがもつセンサーのようなもので、相手あいてをつかむ形かたちがT細胞さいぼうごとに少すこしずつちがいます。どちらのマウスのT細胞さいぼうも同おなじダニのものにはんのうしますが、このセンサーの形かたちだけがちがっていたのです。また、かゆみにかかわる「IL-22」というものが、ひふの中なかにどれだけあるかも、2つのグループでちがっていました。

研究けんきゅうチームは、ダニにはんのうするT細胞さいぼうから、まったく同おなじ遺伝子いでんしをもつマウスを作つくる「クローンマウス」の作つくり方かたを、世界せかいではじめて開発かいはつしました。こうして、同おなじダニのものにはんのうするけれどT細胞受容体さいぼうじゅようたいだけがちがう、2つのグループのマウスができたのです。

この研究けんきゅうは、広島大学ひろしまだいがくのかみぬまおさむ先生せんせいと、理化学研究所りかがくけんきゅうじょのいのうえきみこさんたちのチームが、2026年ねん7月がつ1日ついたちに発表はっぴょうしました。研究けんきゅうのくわしいことを書かいた文章ぶんしょうは、6月がつ24日にじゅうよっかに「Allergology International」という世界せかいの学者がくしゃが読よむざっしにのっています。

アレルギーの病気びょうきは、同おなじものにアレルギーがある人ひとどうしでも、しょうじょうの出方でかたが人ひとによってちがいます。今回こんかいのマウスのけっかから、T細胞受容体さいぼうじゅようたいのちがいが、そうした人ひとによるちがいを生うむ理由りゆうの一ひとつになっているかもしれないことが分わかりました。