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広島大学と理化学研究所の研究チームが、2種類の実験用のネズミ(マウス)を作りました。2種類のマウスは、持っている遺伝子がまったく同じで、どちらもダニに対してアレルギーを起こします。ちがうのは、体の中で敵を見分ける細ぼうが持っている「T細胞受容体」という、たった1つの部分だけです。

ところが、2種類のマウスのひふにダニの成分をくり返しぬると、片方のマウスだけがはっきりと体をかゆがる行動を見せ、もう片方には見られませんでした。どちらも同じようなアレルギーの病気の状態になったのに、かゆみの現れ方にはっきりした差が出たのです。
この研究成果は、広島大学の神ぬま修教授らと、理化学研究所の井上貴美子室長らのチームが、2026年7月1日に発表しました。論文は6月24日に、国際的な学術誌「Allergology International」にのりました。
研究チームが注目したのは、「T細胞」という細ぼうです。T細ぼうは、体の中に入ってきた物質が敵かどうかを見分けて、体を守るはたらきをします。見分けるときに使う目印のような部分が受容体で、その形はT細ぼうごとに少しずつちがいます。
ダニの成分のように、アレルギーの原因になる物質を「抗原」といいます。研究チームは、ダニのこう原に反応するT細ぼうから、「核移植」という方法でクローンマウスを作りました。核移植は、細ぼうの中にある遺伝子のつまった部分を卵に移して、元の細ぼうとまったく同じ遺伝子を持つ動物を作る方法です。こう原に反応するT細ぼうからクローンマウスを作ったのは、世界で初めてです。こうして、同じダニのこう原に反応するけれども、受容体の形がちがう2種類のマウスができました。
2種類のマウスのひふにダニのこう原をくり返しぬると、どちらのマウスにも「アトピー性皮膚炎」に似た状態が現れました。アトピー性ひふえんは、ひふがかゆくなったり赤くなったりする病気です。マウスの体の中では、アレルギーに関わる「IgE抗体」という物質が作られ、ひふにはえんしょうを起こす細ぼうが集まりました。この点は2種類のマウスで同じでした。しかし、病気が進むにつれてはっきりとかゆがる行動を見せたのは、片方のマウスだけでした。かゆみに関わるIL-22という物質がひふでどれくらい作られるかも、2種類のマウスでちがっていました。
2種類のマウスは遺伝子がまったく同じで、ちがうのは受容体だけです。そのため研究チームは、受容体のちがいがアレルギーの現れ方の個人差を生む原因の一つになっている可能性がある、と考えています。同じダニのアレルギーでも、人によって病気の現れ方がちがう理由を解き明かす手がかりになるかもしれません。