1光で脳の神経をあやつる研究にノーベル賞 アメリカとドイツの3人


しんじゅの光り方と、鳥の羽にふくまれる黒い色のもと。この二つのまったくちがう生き物のしくみを、一つの材料の中で合わせてしまった研究が発表されました。東北大学多元物質科学研究所のイン・シュウ教授が率いる研究チームが、さまざまな色に調節できる新しい「構造色」の材料をつくることに成功したのです。構造色とは、絵の具やインクのように色のもとになる物質によってではなく、物の表面や内部にある細かいつくりが光を反射することで見える色のことです。しんじゅや鳥の羽の色がその例です。

これまでの構造色の材料は、細かいつくりを厳密に周期的に、つまり同じ形を正確に同じ間かくでくり返すように並べる必要がありました。今回の材料は、こうした厳密な周期構造にたよらなくても、あざやかな色を低コストで出せるのが特ちょうです。研究チームは、従来の構造色材料とは異なる新しい設計の考え方を示したとしています。
では、どのような材料なのでしょうか。しんじゅは、うすい層が何重にも重なった多層構造をもっています。一方、鳥の羽にふくまれる「メラニン」は、黒っぽい色のもとになる物質で、光を吸収する性質があります。研究チームは、この二つの特ちょうを、生き物の体ではなく無機材料の中で合わせました。無機材料とは、金属やガラスのように、生き物の体をつくる物質とはちがう材料のことです。生き物のしくみをまねることを「バイオミメティック」といい、今回の材料は二つのしくみを重ねてまねているので、多重バイオミメティック構造色材料とよばれています。研究では、この材料の合成、性能を調べること、応用について大きな進展があったということです。
この研究は、大阪大学産業科学研究所、国立台北科技大学、北京科技大学、大東化成工業株式会社の研究者らとの共同研究です。研究成果は、2026年9月22日(現地時間)に科学誌Advanced Materialsにオンラインで公開されました。また、研究チームは同じ年の8月21日付けで「特許」を出願しています。特許とは、新しい発明をした人に、その発明を使う権利を国が認めるしくみで、出願とは、その権利をもとめて国に届け出ることです。
構造色は、けしょう品、物の表面をうすくおおうコーティング、プラスチック、ディスプレイなど、さまざまな分野で注目されています。研究チームは今回の材料を、けしょう品やインク、プラスチックに生かすことをめざしています。