日本とアメリカ、AIで科学を進める大きな約束
みなさんは、AI(人工知能)という言葉を聞いたことがありますか。今では、文章を作ったり絵をかいたりするだけでなく、科学の研究にも使われ始めています。新しい薬や材料を見つけるとき、たくさんの実験のデータをAIが調べると、人が何年もかかる作業を短い時間で進められることがあります。このように、AIの力を借りて科学を前へ進めるやり方を「AI for Science」とよびます。
2026年6月4日(日本時間では5日)、日本の文部科学省と経済産業省、そしてアメリカのエネルギー省が、いっしょに大きな発表をしました。AIを使った科学の研究を進めるため、日本とアメリカが手を結ぶ(戦略的パートナーシップ)というものです。
アメリカには「ジェネシス・ミッション」という、国を挙げて進める大きな計画があります。今回、日本はこの計画に、外国として初めて参加することになりました。
お金の面では、これから5年間で、日本がおよそ5億ドル(日本のお金で約800億円)を出します。アメリカも同じだけ出すので、合わせて10億ドルになります。
力を合わせるのは、次の6つの分野です。とても小さな世界のしくみを使う「量子情報科学」、太陽が光るのと同じしくみでエネルギーを生み出す「かくゆうごう」の技術、生き物のしくみを役立てる「バイオテクノロジー」、大切な「材料」の研究、物のいちばん小さなもとを調べる「そりゅうし物理学」、そして実験を機械が自分で行う「自動実験ラボ」です。
研究には、アメリカ側からはエネルギー省の12の国立の研究所、日本側からは理化学研究所(RIKEN)や東京大学など12の研究機関が参加します。さらに、11の共同研究チームが全体をまとめます。発表の書類には、日本の文部科学省と経済産業省、アメリカのエネルギー省、それぞれの代表が名前を書き入れました。
むずかしい言葉を整理します。「AI for Science」は、AIの力を借りて科学の発見を速くする取り組みのことです。「ジェネシス・ミッション」は、その取り組みをアメリカが国を挙げて進める計画の名前です。「量子情報科学」や「かくゆうごう」は、まだ研究のとちゅうですが、うまくいけばコンピューターをとても速くしたり、新しいエネルギーを生み出したりできると期待されています。
日本とアメリカが、それぞれ800億円ほどの大きなお金と、すぐれた研究所を出し合うことは、これまでにないことです。ここで生まれた新しい技術は、やがて病気を治す薬や、地球のしぜんを守るエネルギーとして、わたしたちのくらしに返ってくるかもしれません。世界の国どうしが協力して科学を進める、その新しい一歩が始まったのです。