ユーロのおさつ、はじめてのデザイン一新へ 最終候補10点をECBが公表

みなさんは、お金のおさつをじっくり見たことがありますか。おさつには人の顔や有名な建物などがえがかれていて、その国や地域が大切にしてきたものが表されています。ヨーロッパでは、多くの国が「ユーロ」という同じお金を使っています。ユーロのおさつが世の中に出回るようになったのは2002年で、それから今まで、デザインが全部新しくなったことは一度もありませんでした。そこで、ユーロを発行しているECB(ヨーロッパ中央銀行)は、今の時代に合った新しいおさつを作るため、デザインを選ぶ取り組みを進めてきました。

2026年7月23日、ECBは、次のユーロのおさつのデザインの最終候補10点を公表しました。同時に、だれでもインターネットで答えられる市民向けの調査を始めました。この調査は2026年9月21日まで行われます。
デザインは、EU(ヨーロッパ連合)全体で開かれたコンテストで集められました。1200件をこえる作品が集まり、その中から25人のデザイナーが招かれて、「ヨーロッパの文化」と「川と鳥」という二つのテーマでデザイン案を作りました。その案を、グラフィックデザイン、ものの伝え方、神経科学、歴史などの専門家21人が集まった、どこの組織にも属さない独立したチームが調べ、10点にしぼりこみました。神経科学は、人の脳や神経の働きを研究する学問です。
ECBは、インターネットの調査と合わせて、ユーロを使っている国々の人たちからかたよりが出ないように選ばれた人を対象に、別の調査会社による調査も行います。ECBの政策理事会は、専門家チームの結論、技術の面から見た評価、二つの調査の結果を合わせて考え、今年の年末ごろに最終的なデザインを決める見通しです。
ECBの総裁クリスティーヌ・ラガルドは「ユーロのおさつは、ただ物を買うための道具ではありません。ヨーロッパを最もはっきりと形にしたものの一つです」と話しました。ECBの専務理事ピエロ・チッポローネも、この発表に合わせてコメントを出しています。
新しいおさつには、にせ物が作られるのを防ぐための新しい仕組みや、目の不自由な人が使いやすくなる工夫が入る予定です。また、自然への負担を減らすため、破れにくく長もちさせることや、くり返し生かせる材料と作り方を取り入れることもめざしています。デザインが決まったあとも、さらに開発や試験を重ね、数年のうちに新しいおさつを使い始める予定です。今のデザインのおさつも、これまで通りお金として使い続けることができます。
今回のニュースに出てきた「中央銀行」とは、国や地域のお金を発行し、世の中に出回るお金の量を調整して、人々の暮らしや経済を安定させる特別な銀行のことです。ECBは、ユーロを使う国々にとっての中央銀行です。また、おさつのことを「紙幣」といいます。紙幣のデザインは、そこに住む人たちが何を大切にしているかを、毎日の暮らしの中で伝え続けるものです。みなさんが大人になるころには、新しいデザインのユーロが世界で使われているはずです。旅行や買い物、ニュースの中で出会うかもしれません。そして、多くの市民に意見を聞いてからデザインを決めるというやり方は、自分たちに関わることを自分たちで考えて決めていく、という大切な考え方につながっています。