2026年7月24日(金)のこどもニュース
空飛ぶ救急ヘリ、飛べない地域も 国が体制を話し合います

急な病気や大きなけがのとき、わたしたちは救急車を呼びます。しかし日本の国土は山地が多く、島もたくさんあります。細い道が続く山おくや、海にうかぶ島では、救急車が着くまでに長い時間がかかることがあります。そこで役立つのが、医師や看護師を乗せて空を飛ぶヘリコプター、ドクターヘリです。消防と病院が協力し、けがや病気の人がいる場所へまっすぐ飛んでいって、その場で手当てを始めることができます。

ところが今、このドクターヘリが飛べなくなる地域が出てきました。ヘリを安全に飛ばすために欠かせない整備士が足りないためです。国は、このことを話し合う会議を開きました。
2026年(令和8年)7月23日の午前10時から昼までの2時間、厚生労働省は、救急の運び方や体制のあり方を考える検討会の第1回の会議を開き、ドクターヘリについての資料を配って説明しました。
ドクターヘリは、令和7年度には46都道府県で57機が動いていました。京都府は、近くの府や県が集まってつくる関西広域連合という組織の中で、みんなで一つのしくみとして運用しています。
お金の面では、令和8年度の初めの予算が100億円で、前の年度の99億円より少し増えました。さらに厚生労働省は、令和7年度の補正予算22億円を使い、ヘリの機体を買ったり整備したりする費用や、整備士などの人を確保する費用を助ける事業を行っています。
しかし東京都、大阪府、徳島県では、整備士が足りないことなどを理由に、ドクターヘリの運航が止まりました。厚生労働省は、整備士が足りなくなった背景についても検討会で説明しました。運航が止まった地域では、消防のヘリコプターや、医師が乗って現場へ向かうドクターカーを使ったり、近くの県とたがいに助け合ったりして対応しています。
となりの地域でドクターヘリが止まったことを受けて、奈良県、和歌山県、兵庫県でも対応策を進めています。兵庫県では、ヘリを操縦する人を2人乗せるツーパイロット制というやり方を取り入れるかどうかを考えています。
また厚生労働省は、令和7年9月26日付けと令和8年3月31日付けで、ヘリを飛ばす会社をきちんと確保することなどについて、全国の都道府県に文書を出しました。厚生労働省は、国土交通省や消防庁とも力を合わせて進めています。
検討会では今後、ドクターヘリを飛ばす体制やしくみをどうしていくか、近くの地域どうしがどのように協力していくか、といった点を話し合っていきます。
「ドクターヘリ」は、医師や看護師が乗りこみ、手当てに必要な道具や薬を積んで現場へ飛ぶヘリコプターです。病院に着く前から手当てを始めることができます。
「整備士」は、ヘリコプターや飛行機の機体を点検し、直したり部品を取りかえたりして、いつでも安全に飛べる状態に保つ仕事の人です。整備士がいなければ、ヘリがあっても飛ぶことはできません。
「補正予算」は、一年分の予算を決めたあとで、急に必要になったことのために、あとから付け足して決めるお金のことです。
病気やけがは、いつ、だれに起こるか分かりません。ドクターヘリが飛べるかどうかは、わたしたちの命を守るしくみそのものです。国や都道府県がこれからどんな話し合いをして、どのように決めていくのか、注目していきたいですね。
虫1ぴきに100円 埼玉県川島町、7万ぴきで受付終わる

外国から日本に入ってきた生き物の中には、もとから日本にいる生き物やわたしたちのくらしに大きな害をあたえるものがいます。国はそうした生き物を法律で特定外来生物と決めていて、クビアカツヤカミキリもその一つです。この虫を減らすには、見つけた人がその場で退治することが大切です。そこで埼玉県川島町は、町の人だけでなく、埼玉県内に住む多くの人に協力を呼びかける取り組みを行ってきました。

川島町は、令和8年6月1日から、特定外来生物クビアカツヤカミキリの成虫を退治した人に、1ぴきにつき現金100円をわたすしょうれい金の取り組みを始めました。対象は埼玉県内に住んでいる人です。退治する場所は川島町の中に限らず、埼玉県内であればどこでもよい決まりでした。申しこみは、町の窓口へ、申しこみ書と退治した虫をいっしょに持っていく方法です。数を数えるときは、胸が赤いことを確かめられるものを1ぴきとしました。生きたまま持ち運ぶことは法律で禁止されているので、その場で退治してから持っていきます。人の土地で退治するときは、その土地の持ち主の許可が必要です。受付は平日の9時から17時までで、土曜日・日曜日・祝日は受け付けませんでした。
はじめの予定では、申しこみを受け付けるのは9月30日まででした。ところが、たくさんの人が虫を持ちこんだため、用意していたお金が足りなくなりました。そこで川島町は、7月10日に臨時議会を開いて補正予算を決め、7月13日から受付を続けました。しかし、それでも予算の限度額に達したため、7月16日木曜日で受付を終えました。しょうれい金として出されたお金は合わせて700万円で、1ぴき100円ですから、7万ぴきもの成虫が退治された計算になります。
「特定外来生物」とは、外国から入ってきた生き物のうち、日本の自然や人のくらしに大きな害をあたえるおそれがあるとして、国が法律で決めたもののことです。「奨励金」とは、ある行いを人々にすすめるために、役所などがわたすお金のことです。「補正予算」とは、一度決めた予算では足りなくなったときに、後から組み直して決め直す予算のことです。予算は、わたしたちがおさめた税金をどう使うかを決めたものなので、議会で話し合って決められます。7万ぴきという数は、一人の力ではとても届きません。県内のたくさんの人が、少しずつ手を動かした結果です。身の回りの自然を守るために自分には何ができるのか、考えるきっかけになりそうです。
南鳥島の海の底から レアアースのどろ約50トンを回収 世界で初めて成功

スマートフォンやパソコン、電気自動車のモーターなどには、強い磁石をつくるために欠かせない特別な金属が使われています。こうした金属をまとめてレアアースと呼びます。レアアースは世界のどこにでもたくさんあるわけではなく、日本はこれまで、そのほとんどを外国から輸入してきました。日本は山地が多く、資源にとぼしい国です。しかし、海に目を向けると話は変わります。日本は多くの島からできた島国で、海に囲まれ、とても広い排他的経済水域をもっています。そして、その海の底には、レアアースを多くふくむどろがあることが分かっていました。ただし、そのどろがあるのは水深数千メートルもの深い海の底です。どうやってどろを船の上まで運び上げるかが、長い間の大きな課題でした。

2026年7月24日、内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「海洋安全保障プラットフォームの構築」(プログラムディレクターは石井正一)と、国立研究開発法人海洋研究開発機構が、この課題に大きく近づく結果を発表しました。調べたのは、南鳥島の周辺にある日本の排他的経済水域の、海底の下にあるレアアース泥です。
試験は2026年1月12日から2月14日まで、地球深部探査船「ちきゅう」を使って行われました。使われたのは、日本が独自に開発した閉鎖型循環方式という採鉱のしくみです。まず、このしくみが深さ6,000メートルの深い海の中でも確実に動くことを、パイプをつなぐ試験で確かめました。そして2026年2月1日には、長さ5,569メートルのパイプを使って、海底の下のどろを続けて船の上まで運び上げることに、世界で初めて成功しました。
船の上に回収したどろは、海水を取り除いたあとの重さで約50トンありました。その成分をくわしく調べたところ、ふくまれるレアアース全体のうち、約54%がイットリウム、ガドリニウム、ジスプロシウムなどの中重レアアースだと分かりました。また、体に害のある物質や放射性物質については、心配になるような量は見つかりませんでした。海のまわりのようすを調べる試験でも、この鉱物によってまわりの海がよごれるおそれは低いと判断されました。
内閣府と海洋研究開発機構は、令和9年(2027年)2月から本格的な採鉱試験を行い、令和10年(2028年)3月までに、どれくらいの費用がかかるかという経済性の評価もふくめた総合的な評価を行う予定です。
ここでいくつかの言葉を説明します。「排他的経済水域」とは、海岸から遠くはなれたところまで広がる海で、その国が魚や海底の資源を利用する権利をもつ場所です。「レアアース泥」は、レアアースを多くふくんでいる海底のどろのことです。「閉鎖型循環方式」は、どろをまわりの海に出さないように閉じたままにして船まで運び上げる、日本が独自に開発した採鉱のしくみです。レアアースはたくさんの種類に分けられますが、その中で重さが中くらいから重いなかまを「中重レアアース」と呼びます。
海底の資源を実際に使えるようになるかどうかは、これからの採鉱試験と評価によって決まります。それでも、深い海の底からどろを運び上げる技術が世界で初めて確かめられたことは、大きな一歩です。もし自分の国の海から資源を得られるようになれば、わたしたちが毎日使っているスマートフォンや電気自動車を支える材料の手に入れ方が変わるかもしれません。同時に、海の生き物や水のよごれに気をつけながら、限りある資源を大切に使っていくことも必要です。海の資源をどう生かし、どう守るのかは、持続可能な社会をつくるわたしたちの未来と深くつながっています。
生成AIを使ったことがある人 日本で58.8%に 総務省が情報通信白書を公表

みなさんは、質問を打ちこむと文章を作ってくれたり、絵をかいてくれたりするコンピューターの仕組みを、家や学校で見たことがあるでしょうか。ここ数年で、こうした仕組みはパソコンやスマートフォンから、だれでも気軽に使えるようになってきました。テレビや新聞、インターネットなどの情報を伝える産業は、わたしたちの毎日の生活に大きな力をもっています。そのため国の役所である総務省は、情報や通信の技術が人々の間にどれくらい広がっているかを、毎年調べて発表しています。

総務省は2026年7月24日、令和8年版情報通信白書を公表しました。これは1年間の情報通信のようすをまとめた報告書で、公表は今回で通算54回目になります。今回の白書は、特集として「AIの進展がもたらす多面的影響」を取り上げました。調査は2026年1月から2月にかけてアンケートの形で行われ、日本では1,236件、アメリカ・ドイツ・中国ではそれぞれ624件の答えが集まりました。
その結果、日本で生成AIを使った経験がある人の割合は、2025年度の調査で58.8%になりました。この割合は2023年度の調査では9.1%、2024年度の調査では26.7%でしたから、わずか数年で6倍以上に増えたことになります。2025年度の調査からは、新たに15才から19才の人も調べる相手に加えられました。20才以上の人だけに限ると、割合は52.2%です。年代ごとに見ると、15才から19才が91.7%、20才から29才が78.2%、30才から39才が56.3%、40才から49才が49.0%、50才から59才が44.2%、60才から69才が33.5%で、若い年代ほど高くなっています。また、ほぼ毎日使うと答えた人は合計で約3割でした。内訳は、1日に使う時間が1時間より短い人が18.8%、1時間以上の人が11.1%です。外国と比べると、アメリカは75.6%、ドイツは75.6%、中国は93.6%で、どの国も日本の58.8%を上回りました。
ここで出てきた「生成AI」とは、たくさんの文章や絵などをコンピューターに学習させ、人がたのんだ内容に合わせて、新しい文章や絵、音声などを作り出す技術のことです。また「情報通信白書」とは、総務省が毎年出している、通信や放送、インターネットのようすを数字や図でまとめた報告書のことです。今回のように、調べた人のうち何人が一度でも使ったことがあるかを表した数字は「利用経験率」と呼ばれます。日本では、みなさんに年が近い15才から19才の人の9割以上が、すでに生成AIを使った経験をもっています。生成AIは調べ物や文章づくりを助けてくれますが、まちがった内容を答えることもあります。だからこそ、AIの答えをそのまま信じるのではなく、本や別の資料で確かめる力が大切です。みなさんが大人になるころには、AIとどうつき合うかが、勉強のしかたや仕事のしかたを大きく変えていくと考えられます。
ユーロのおさつ、はじめてのデザイン一新へ 最終候補10点をECBが公表

みなさんは、お金のおさつをじっくり見たことがありますか。おさつには人の顔や有名な建物などがえがかれていて、その国や地域が大切にしてきたものが表されています。ヨーロッパでは、多くの国が「ユーロ」という同じお金を使っています。ユーロのおさつが世の中に出回るようになったのは2002年で、それから今まで、デザインが全部新しくなったことは一度もありませんでした。そこで、ユーロを発行しているECB(ヨーロッパ中央銀行)は、今の時代に合った新しいおさつを作るため、デザインを選ぶ取り組みを進めてきました。

2026年7月23日、ECBは、次のユーロのおさつのデザインの最終候補10点を公表しました。同時に、だれでもインターネットで答えられる市民向けの調査を始めました。この調査は2026年9月21日まで行われます。
デザインは、EU(ヨーロッパ連合)全体で開かれたコンテストで集められました。1200件をこえる作品が集まり、その中から25人のデザイナーが招かれて、「ヨーロッパの文化」と「川と鳥」という二つのテーマでデザイン案を作りました。その案を、グラフィックデザイン、ものの伝え方、神経科学、歴史などの専門家21人が集まった、どこの組織にも属さない独立したチームが調べ、10点にしぼりこみました。神経科学は、人の脳や神経の働きを研究する学問です。
ECBは、インターネットの調査と合わせて、ユーロを使っている国々の人たちからかたよりが出ないように選ばれた人を対象に、別の調査会社による調査も行います。ECBの政策理事会は、専門家チームの結論、技術の面から見た評価、二つの調査の結果を合わせて考え、今年の年末ごろに最終的なデザインを決める見通しです。
ECBの総裁クリスティーヌ・ラガルドは「ユーロのおさつは、ただ物を買うための道具ではありません。ヨーロッパを最もはっきりと形にしたものの一つです」と話しました。ECBの専務理事ピエロ・チッポローネも、この発表に合わせてコメントを出しています。
新しいおさつには、にせ物が作られるのを防ぐための新しい仕組みや、目の不自由な人が使いやすくなる工夫が入る予定です。また、自然への負担を減らすため、破れにくく長もちさせることや、くり返し生かせる材料と作り方を取り入れることもめざしています。デザインが決まったあとも、さらに開発や試験を重ね、数年のうちに新しいおさつを使い始める予定です。今のデザインのおさつも、これまで通りお金として使い続けることができます。
今回のニュースに出てきた「中央銀行」とは、国や地域のお金を発行し、世の中に出回るお金の量を調整して、人々の暮らしや経済を安定させる特別な銀行のことです。ECBは、ユーロを使う国々にとっての中央銀行です。また、おさつのことを「紙幣」といいます。紙幣のデザインは、そこに住む人たちが何を大切にしているかを、毎日の暮らしの中で伝え続けるものです。みなさんが大人になるころには、新しいデザインのユーロが世界で使われているはずです。旅行や買い物、ニュースの中で出会うかもしれません。そして、多くの市民に意見を聞いてからデザインを決めるというやり方は、自分たちに関わることを自分たちで考えて決めていく、という大切な考え方につながっています。
人の手で育ったニホンザルのパンチが1才 市川市動植物園にみんなのメッセージがならびます
動物の赤ちゃんは、生まれてしばらくの間、母親のお乳を飲んで大きくなります。けれども、何かの理由で母親が赤ちゃんを育てられないこともあります。そんなとき、動物園では飼育員が母親のかわりに、時間を決めてミルクを飲ませ、体の様子を毎日たしかめながら育てます。これを人工ほ育といいます。市川市動植物園にいるニホンザルのパンチも、人の手で育てられてきたサルです。そのパンチが、まもなく生まれてから1年になります。
市川市動植物園は、パンチが2026年7月26日に1才の誕生日をむかえるのに合わせて、園に来た人たちから集めたおうえんのメッセージをならべる「#がんばってるねパンチ!みんなのメッセージ展」を開くと発表しました。行われるのは2026年7月22日水曜日から8月9日日曜日までで、場所は動植物園のレストハウス1階にあるレクチャールームです。パンチへのバースデーカードやメッセージは、2026年7月1日から7月15日まで集められました。送り方は、郵便で送るか、園の中に置かれた受付ボックスに入れるかの二つで、大きさはA4サイズまでと決められました。名前や住所などの個人情報は書かないという約束もありました。会場には、みんなで一枚の紙に言葉を書きこむ寄せ書きのスペースも作られます。さらに、「#がんばれパンチ」という題のYouTubeの動画も上映されます。ただし、ぬいぐるみのような立体の物や、食べ物・飲み物をパンチにおくることはできないと、市川市動植物園は伝えています。
「人工哺育」とは、母親のかわりに人がミルクをあげて、動物の赤ちゃんを育てることです。「寄せ書き」とは、一枚の紙に何人もの人が言葉や絵を書き合わせるもので、学校でも友だちを送り出すときなどに作ることがあります。動物園で一つの命が育つまでには、飼育員のたくさんの世話と、見守る人たちの気持ちがあります。生き物の命に目を向け、応えんの言葉をとどけることは、身近な自然や動物を大切にする第一歩になります。今度動物園に行くときは、そこにいる生き物がどのように育てられてきたのかを、少し考えてみてはどうでしょうか。