1買い物客が、とつぜんさいがいの中に げきのようなぼうさいくんれん


63度。これは、アメリカで新しく見つかったアメーバが、体を二つに分けてふえることができる水の温度です。おふろの湯よりずっとあつく、手を入れたらやけどをしてしまうほどのあつさです。

アメーバは、一つの細ぼうだけでできた、とても小さな生き物です。人間や植物、きのこと同じように、細ぼうの中に「核」というDNAをしまっておく部屋をもっています。このような生き物を「真核生物」といいます。これまで、しんかく生物がふえられる一番高い温度の記ろくは60度で、きのこやカビのなかまの一部と、赤い色の海そうの一部がもっていました。今回のアメーバは、この記ろくを3度こえました。
このアメーバを見つけたのは、アメリカのシラキュース大学の大学院生、ベリル・ラパポートさんを中心とする研究チームです。研究は、アメリカでうちゅうのことを調べているNASAがささえています。研究チームは、カリフォルニア州にあるラッセン火山国立公園の高温の温せんの水からアメーバを取ってきて調べました。アメーバには Incendiamoeba cascadensis という名前がつけられ、「火のアメーバ」という意味でファイアアメーバともよばれています。研究のけっかは、9月22日に Cell という科学のざっしにのりました。
このアメーバは、63度をこえるとふえるのをやめます。しかし、64度までは動きまわって、食べ物をさがすことができます。研究者たちは、これまで、しんかく生物の細ぼうの中にある小さな部品をつつんでいるまくは、62度をこえるとこわれてしまうと考えていました。今回の発見は、この考えをくつがえしました。
研究チームは、このアメーバの「遺伝子」も調べました。いでんしは、生き物の体をどう作り、どう動かすかが書かれた、せっけい図のようなものです。すると、DNAがこわれないように守るいでんしや、まわりの様子を感じとるいでんし、あつい時にタンパクしつの形をたもついでんしが、とくによくはたらいていることが分かりました。また、このアメーバのタンパクしつの一部は、表面が強くプラスの電気をおびていました。これは、あつい場所にすむ細きんや古細きんによく見られるとくちょうです。細きんや古細きんは、かくをもたない小さな生き物です。
さらに、ニュージーランドやアメリカのイエローストーン国立公園など、世界のあちこちにある、地下のねつで水や地面があつくなっている場所のいでんしデータからも、このアメーバとよくにたDNAのかけらが見つかっています。そのため、あつい場所にすむアメーバのなかまが、世界中にいるかもしれません。
NASA本部の科学者で、うちゅうの生き物について研究しているアリソン・オルコットさんは、「この発見は、こみ入ったつくりの生き物がどこに、どれくらいいられるのかについての考えを広げてくれます」と話しています。一方で、ラパポートさんは、生き物が生きていくには、温度だけでなく、水のすっぱさ、さんその多さ、おしつける力、水、食べ物など、いくつものことがそろわなければならないと話しています。