1光で脳の神経をあやつる研究にノーベル賞 アメリカとドイツの3人


令和8年9月22日、千葉県成田市船形の「干拓」と呼ばれる場所で、北いんばぬまの「堤防」がおよそ100メートルにわたって「決壊」しました。干拓は、ぬまなどの水をぬいて田や畑にした土地のことです。ていぼうは、川やぬまの水があふれないように、岸に土などを高く積み上げて作った土手のことです。けっかいは、そのていぼうがこわれて、水が外に流れ出してしまうことをいいます。こわれた100メートルは、学校の25メートルプールを4つ並べた長さと同じくらいです。

この日、千葉県には台風25号による激しい雨がふっていました。ていぼうがこわれた場所からは水が流れ出し、周りの広い地域で「浸水」のひ害が起きています。浸水は、あふれた水が家や田畑などに入りこむことです。
こわれたのは北いんばぬまのていぼうだけではありません。同じ成田市の下方を流れる角川でも、ていぼうの一部がこわれました。角川は、田や畑にたまった水を北いんばぬまへ流すための水路で、「農業排水路」と呼ばれています。さらに、いんば郡栄町酒直を流れる長門川でも、ていぼうの一部がこわれていることが確かめられました。
北いんばぬまのていぼうは、千葉県が管理しています。千葉県は9月23日にこれらのひ害を発表するとともに、こわれた場所を急いで直すための助けを国に求めました。これを受けて同じ23日、国土交通省関東地方整備局は「TEC-FORCE」を現場に送ることを決めました。TEC-FORCEは「緊急災害対策派遣隊」とも呼ばれ、大きな災害が起きたときに国から現場に送られる、災害対応の専門家のチームです。
発表の時点で、ていぼうがこわれた場所の周りでは、広い範囲が水につかったままになっています。

9月27日の深夜2時55分(現地時間)、中国の成都の空港から、パンダのために用意された専用の飛行機が飛び立ちました。乗っていたのは、2頭のジャイアントパンダです。行き先はアメリカのアトランタ動物園で、2頭はそこで10年間くらすことになりました。中国国家林業和草原局が発表しました。

出発したのは、平平と「福双」です。平平はオスで、2020年3月17日に生まれました。目の周りの黒い部分がこくて大きいのがとくちょうです。もう1頭の「福双」はメスで、2020年10月18日に生まれ、頭のてっぺんにふさのような毛が生えているのがとくちょうです。
出発の前には、2頭がくらしていた「成都大熊猫繁育研究基地」で送別式が行われました。ここは、パンダを育て、子どもを生ませて研究するしせつです。
中国側は、長い空の旅に備えて、しんせんなタケノコや竹、リンゴ、急な病気やけがに備えた薬を用意しました。また、あらかじめ、飛行機での輸送に慣れるための訓練も行いました。飛行機の中は、パンダにとってちょうどよい温度やしめり気に保たれ、アメリカ側の経験豊かな動物の医師と飼育員が付きそいました。
アトランタ動物園に着いたあと、2頭は「隔離検疫」を受ける予定です。これは、病気を持ちこんでいないかを確かめるため、しばらくの間ほかの動物からはなして調べることです。その間、中国側のスタッフもアトランタに残り、世話にあたります。
受け入れの準備も進められてきました。2025年12月から、中国の専門家チームとアトランタ動物園は、パンダのしせつを直す工事について話し合ってきました。工事を終えたしせつは、9月のなかばに現地で確かめられています。
中国とアメリカは、20年以上にわたってパンダを守るための協力研究を続けてきました。これまでに共同で30件以上の専門研究を進め、50本以上の学術論文を発表し、5回の出産で合わせて7頭の子パンダが生まれています。

広島大学と理化学研究所の研究チームが、2種類の実験用のネズミ(マウス)を作りました。2種類のマウスは、持っている遺伝子がまったく同じで、どちらもダニに対してアレルギーを起こします。ちがうのは、体の中で敵を見分ける細ぼうが持っている「T細胞受容体」という、たった1つの部分だけです。

ところが、2種類のマウスのひふにダニの成分をくり返しぬると、片方のマウスだけがはっきりと体をかゆがる行動を見せ、もう片方には見られませんでした。どちらも同じようなアレルギーの病気の状態になったのに、かゆみの現れ方にはっきりした差が出たのです。
この研究成果は、広島大学の神ぬま修教授らと、理化学研究所の井上貴美子室長らのチームが、2026年7月1日に発表しました。論文は6月24日に、国際的な学術誌「Allergology International」にのりました。
研究チームが注目したのは、「T細胞」という細ぼうです。T細ぼうは、体の中に入ってきた物質が敵かどうかを見分けて、体を守るはたらきをします。見分けるときに使う目印のような部分が受容体で、その形はT細ぼうごとに少しずつちがいます。
ダニの成分のように、アレルギーの原因になる物質を「抗原」といいます。研究チームは、ダニのこう原に反応するT細ぼうから、「核移植」という方法でクローンマウスを作りました。核移植は、細ぼうの中にある遺伝子のつまった部分を卵に移して、元の細ぼうとまったく同じ遺伝子を持つ動物を作る方法です。こう原に反応するT細ぼうからクローンマウスを作ったのは、世界で初めてです。こうして、同じダニのこう原に反応するけれども、受容体の形がちがう2種類のマウスができました。
2種類のマウスのひふにダニのこう原をくり返しぬると、どちらのマウスにも「アトピー性皮膚炎」に似た状態が現れました。アトピー性ひふえんは、ひふがかゆくなったり赤くなったりする病気です。マウスの体の中では、アレルギーに関わる「IgE抗体」という物質が作られ、ひふにはえんしょうを起こす細ぼうが集まりました。この点は2種類のマウスで同じでした。しかし、病気が進むにつれてはっきりとかゆがる行動を見せたのは、片方のマウスだけでした。かゆみに関わるIL-22という物質がひふでどれくらい作られるかも、2種類のマウスでちがっていました。
2種類のマウスは遺伝子がまったく同じで、ちがうのは受容体だけです。そのため研究チームは、受容体のちがいがアレルギーの現れ方の個人差を生む原因の一つになっている可能性がある、と考えています。同じダニのアレルギーでも、人によって病気の現れ方がちがう理由を解き明かす手がかりになるかもしれません。