世界自然遺産「小笠原諸島」を外来種から守れ
日本の南のほう、東京から船で遠くはなれた海の上に、「小笠原諸島」という島々があります。この島々は、これまで一度も大きな陸地とつながったことがありません。そのため、ほかの場所にはいない、この島だけのめずらしい生き物がたくさん生きています。2011年6月には、その自然の値打ちがみとめられて「世界自然遺産」に登録されました。
ところが今、この大切な自然が「外来種」によっておびやかされています。外来種とは、人の活動などによって、もともとその土地にいなかったのに、よその場所から運ばれてきた生き物のことです。
環境省、林野庁、文化庁、東京都、「小笠原村」は、外来種が島に入りこんだり広がったりするのを止めるための対策を進めていると発表しました。
たとえば、グリーンアノールというトカゲのなかまは、今では父島と母島のほぼ全体に広がっています。このトカゲは、オガサワラシジミなど、この島にしかいないめずらしいこん虫を食べてしまいます。また、アカギやモクマオウといった外来の植物は、もとからその島で育っていた在来の植物の成長をじゃまします。
そこで、外来種が森に入りこむのをふせぐためのさくを作ったり、虫がくっつく「粘着トラップ」というわなをしかけたり、薬を使ったりして、外来種をとりのぞいています。さらに、外から生き物のたねや卵を持ちこまないように、島に来た人にくつの底を洗ってもらい、注意をよびかける予防にも力を入れています。
「世界自然遺産」とは、世界でとくに大切だとみとめられた自然を、みんなで守っていくための約束です。生き物は「食べる・食べられる」というつながりの中で生きていて、外から来た一つの生き物が、島全体のつり合いを大きくくずしてしまうことがあります。そして、一度くずれた自然をもとにもどすのは、とてもむずかしいことです。私たちが旅行に行くときも、その場所の生き物やたねを持ちこまない、持ち出さないと気をつけること。それが、めずらしい自然を未来に残していくための第一歩になります。