うさぎの島でイノシシが生きたウサギをおそう 原因は観光客のえさのやりすぎ

広島県竹原市の大久野島は、たくさんのウサギとふれ合える「うさぎの島」として人気の観光地です。島には外来種のアナウサギが数百ぴきもすんでいて、多くの観光客がえさをあげてきました。しかし、人が野生の生き物にえさをあげすぎると、島の生き物どうしの関係が変わってしまうことがあります。今回、そのことを示す研究が発表されました。

福島大学のかねこしんご教授らの研究チームは、くれ工業高等専門学校の小倉あさみさんや絵本作家のこんどうえりさんらと協力して研究を進め、2026年7月30日、国際学術誌『Journal of Ecotourism』にその成果を発表しました。研究のきっかけは、2024年3月5日の午後3時ごろ、大久野島のフェリー乗り場の近くで見られたできごとです。イノシシが、争っていた2ひきのオスのウサギのうち1ぴきをおそい、鼻先で転がして石段に打ちつけた後、森林の中へ運んでいく様子が確認されたのです。2017年にも同じようなできごとが見られたという情報があります。イノシシが動物の死体を食べることはこれまでも知られていましたが、健康な生きた動物を自分から積極的に捕食した事例は、これまで確認されていませんでした。研究チームは、観光客が持ちこんだえさの食べ残しやウサギの死体がイノシシの食べ物になっていること、島の中にとても多くのウサギがすんでいることが背景にあると考え、観光客のえさのやりすぎでウサギの数が増えたことが、イノシシによる捕食を引き起こした要因であることを明らかにしました。
ここで、むずかしい言葉を説明します。「捕食」とは、生き物がほかの生き物をつかまえて食べることです。「外来種」とは、もともとその場所にいなかったのに、人によって運ばれてきてすみついた生き物のことです。理科で学んだように、生き物は食べる・食べられるの関係でつながっています。人がえさをあげすぎると、その関係やバランスが変わり、思いがけないことが起こるのです。野生の生き物とふれ合うときは、勝手にえさをあげないなどのルールを守ることが、生き物と人の両方を守ることにつながります。みなさんも観光地で動物に出会ったら、どのように関わるのがよいか、考えてみてください。