深い海の谷「海溝」で新種発見 ワラジムシの仲間3種は深さでくらす場所がちがった

日本の近くの海の底には、「海溝」と呼ばれる場所があります。海溝は、海の底がさらに深く、細長い谷のように落ちこんだ地形で、深いところは数千メートルにもなります。太陽の光は届かず、水は冷たく、水の重さによる大きな圧力もかかる、生き物にとってとてもきびしい場所です。

この深い谷から、新しい生き物が見つかりました。北海道大学・東京大学・京都大学の研究チームは2026年8月25日、日本近海の谷の中の、深さ2889メートルから7288メートルの海底で、小さな「甲殻類」を3種発見したと発表しました。甲殻類とは、エビやカニのように、かたいからでおおわれた体をもつ生き物のグループのことです。3種のうち2種は、これまで知られていなかった新種でした。
今回見つかった3種は、「ミズムシ亜目」というグループに入ります。これは、陸の落ち葉や石の下でよく見かけるワラジムシに近い仲間です。あの小さな虫に似た生き物が、光のまったく届かない深い海の底にもくらしていたのです。
さらに研究チームは、3種がそれぞれ異なる深さの帯にすんでいることを明らかにしました。同じ谷の中でも、深さによってすむ種類がはっきり分かれていたのです。発表のタイトルでは、生き物のすむ深さを分けているものを「見えないベール」と表現しています。ベールとは、顔などをおおううすい布のことです。海の中に目に見える仕切りはないのに、まるでうすい布で区切られているかのように、深さごとにすむ生き物がちがっているからです。この研究に関わった一人が、北海道大学の研究者の太田瑞希さんです。
今回生き物が見つかった7288メートルという深さは、富士山の高さ3776メートルのほぼ2倍にあたります。そんな深い海の底にも、それぞれの深さに合わせてくらす小さな生き物たちがいたのです。