1光で脳の神経をあやつる研究にノーベル賞 アメリカとドイツの3人


人の体には、朝になると目が覚め、夜になるとねむくなるリズムがあります。このリズムを作っているのが、脳の中にある「体内時計」です。では、その体内時計が地球の自転と同じ約24時間で正しく動いていることは、生き物が生き残るうえで本当に大切なのでしょうか。

人間をはじめ多くの動物には、ねむりと目覚めのリズムを作る体内時計の中心となる部分が脳の中にあります。しかし、約24時間のリズムが本当に生き残るために大切なのかは、これまで実験でハッキリと証明されていませんでした。
岡山大学の大学院生の相川さえさん、よし井大志教授(時間生物学)、三村真紀子教授(生態学)らの研究グループは、この疑問に答えるため、キイロショウジョウバエを使って研究しました。キイロショウジョウバエは、遺伝子の操作が得意な生き物です。「遺伝子」とは、生き物の体の特ちょうを決める設計図のようなものです。研究グループは、遺伝子を操作して、脳の体内時計だけがくるった「異常なハエ」を作ることに成功しました。
研究グループは、この異常なハエと、正しいリズムを持つ正常なハエを何世代もいっしょに飼い、生き残り競争をさせました。
その結果、約24時間の正しいリズムを持つハエは、リズムがくるったハエよりも、生き残り競争ではるかに有利であることが分かりました。例えば、「1日が18時間」の体内時計を持つハエは、世代を重ねるにつれて数が減っていきました。こうして、正しいリズムを持つことの大切さが、実験で厳密に証明されました。
人間の体内時計にも、朝早くから元気な「朝型」や、夜おそくまで元気な「夜型」など、人によって大きな差があります。今回の研究は、自分の体内時計のリズムと、学校や仕事といった社会の時間がずれること(ミスマッチ)が、体や生活に目に見えない悪いえいきょうをあたえている可能性を示しています。
この研究成果は、2026年8月10日にアメリカの科学誌「iScience」にのりました。