1買い物客が、とつぜんさいがいの中に げきのようなぼうさいくんれん


2024年1月1日、のと半島で大きな地しんが起きました。この地しんで、半島の北がわと西がわの海岸は、いちばん高いところで5.2mも高くなりました。半島の西がわを流れるはっか川の近くでも、4m近く高くなりました。すると、川が海に流れこむ出口と海との間に大きな高さのちがいができ、川の水が「滝」のように急に落ちる場所ができました。

この川の出口がその後どうかわっていくのかを、東北大学の高橋なおしさんたちの研究グループが調べました。グループには一橋大学や東京大学、北海道大学など、合わせて8つの大学や研究所の研究者がくわわり、2026年9月16日にその結果を発表しました。くわしい内ようは、9月14日に Communications Earth & Environment という科学ざっしにのっています。
高橋さんたちは、川の出口からおよそ1kmの区間で、ドローンを何度もとばし、レーザーや写真で地面の形をこまかくはかりました。そのデータから立体の地図を作り、時間がたつごとに形がどうかわるかをくらべたのです。地しんの直後のようすを知るために、人工えい星でとった画ぞうや、国土地理院の空からの写真も使いました。
分かったのは、川ぞこがとても速くけずれていることでした。地しんから1年もたたないうちに、川ぞこは深いところで2mもけずれていました。たきのような急な流れのいちばん上、つまり川ぞこのかたむきがゆるやかなところから急なところにかわる点を「遷急点」といいます。この遷急点が、1年たたないうちに、いちばん多いところで770mも上流へ動いていたのです。きっかけは大水でした。2024年7月の大雨と、地しんからおよそ8か月半後の9月20日から22日にかけてふったとても強い雨「奥能登豪雨」で川の水が一気にふえたとき、遷急点は急に上流へ動きました。今は、川の出口から1km近くはなれた場所にある、川の水をせき止めるために人が作った「堰」というしせつまでとどいて、止まっています。
川ぞこがけずれたことで、これまで土の下にかくれていた地そうが見えるようになりました。およそ7400年前の「縄文時代」に、川の出口の近くにたまったとみられるすなやどろです。そして、むかしの川原が今の川よりも高いところに階だんのように取りのこされた地形、「河岸段丘」が、地しんから1年たたないうちに新しくできたことも分かりました。海岸が高くなってできる階だんの形の地形と、それにつづく河岸段丘が、ほとんど同じ時期にできることをこまかく見た研究は、世界ではじめてです。
また、こまかいすなやどろが先に流され、大きな石やコンクリートのかけらが川ぞこにのこって、川ぞこがよろいを着たようになる「アーマー化現象」も起きました。こうなると川ぞこは下へけずれにくくなりますが、今度は横のがけがけずられ、川のはばは60mいじょうに広がりました。
地しんから2年半いじょうがたった今も、川のかわり方は止まっていません。高橋さんたちは、はっか川の出口からおよそ10kmの区間で、これから10年いじょう、川ぞこが下がったり川はばが広がったりしつづけるおそれがあるとしています。はっか川では、せきや橋の柱の近くがけずられたり、川岸を守るコンクリートがくずれ落ちたりしているのが、すでに見つかっています。のと半島の北がわを流れるほかの川でも、同じことが進んでいる見こみがとても高いと、高橋さんたちは考えています。