太ふといしっぽと細ほそいしっぽ 一ひとつの深海魚しんかいぎょと思おもわれていたのは二ふたつの魚さかなだった

太いしっぽと細いしっぽ 一つの深海魚と思われていたのは二つの魚だった
ホラアナゴ 出典: NOAA Photo Library (PD / Wikimedia Commons)

深ふかい海うみのそこに、ホラアナゴという、ウナギのなかまの魚さかながいます。その中なかに、リュウキュウホラアナゴとよばれてきた魚さかながいます。太平洋たいへいよう、大西洋たいせいよう、インド洋ようと、世界せかいの海うみに広ひろくすんでいると考かんがえられてきた魚さかなです。ところが、この魚さかなには、しっぽが太ふといタイプと、しっぽが細ほそいタイプの二ふたつがまじっていました。

太いしっぽと細いしっぽ 一つの深海魚と思われていたのは二つの魚だった
ホラアナゴ 出典: NOAA Photo Library (PD / Wikimedia Commons)

二ふたつのタイプは、しっぽの太ふとさだけがちがうのではありませんでした。せぼねの数かず、うろこの形かたち、そして「側線そくせん」という、体からだの横よこにある線せんの長ながさも、はっきりとちがっていたのです。

そこで、北海道大学ほっかいどうだいがくのはく物館ぶつかんの田たじょう文人ふみひとさんと、東とう海かい大だい学がく海かい洋よう学がく部ぶのたか見みむね広ひろさんの研究けんきゅうグループは、2026年ねんに、しっぽの細ほそいタイプを新あたらしいしゅるいの魚さかなとして発表はっぴょうしました。名前なまえはホソオホラアナゴです。

発表はっぴょうのもとになったのは、するがわんをはじめとする南日本みなみにほんの、水深すいしんおよそ1500メートルより深ふかい海うみでとられた魚さかなです。深海しんかいの魚さかなはつかまえるのがむずかしく、はじめは数かずが少すくなくて、二ふたつのタイプをじゅうぶんにくらべることができませんでした。そのため、田たじょう文人ふみひとさんとたか見みむね広ひろさんの研究けんきゅうグループは、10年ねんをこえて魚さかなを集あつめつづけました。さらに、日本にほんや外国がいこくのはく物館ぶつかんや大学だいがくがもっている「標本ひょうほん」も調しらべました。標本ひょうほんとは、研究けんきゅうのために、形かたちをくずさないようにとっておいた生いき物もののことです。こうして、子こどもの魚さかなからおとなの魚さかなまで、80ぴきをこえる魚さかなの体からだのデータがそろいました。

研究けんきゅうグループは、外国がいこくのはく物館ぶつかんにある、リュウキュウホラアナゴの名前なまえのもとになったはじめの一いっぴき、「ホロタイプ」ともくらべました。そのけっか、しっぽの太ふといタイプがリュウキュウホラアナゴで、しっぽの細ほそいタイプは、これまで学名がくめいがなかった魚さかなだと分わかりました。「学名がくめい」とは、世界せかいのどこでも同おなじように使つかうために、ラテン語ごという言葉ことばでつけた生いき物ものの名前なまえです。ホソオホラアナゴの学名がくめいは、Ilyophis fukuii です。

ホラアナゴのなかまの多おおくは深海しんかいのそこにすんでいて、大おおきな海うみの生いき物ものの死しがいを食たべるものもいます。そのため、深海しんかいの生いき物もののつながりをささえる、大切たいせつななかまだと考かんがえられています。今回こんかいの研究けんきゅうは、世界せかいじゅうの海うみにすんでいると考かんがえられてきた深海魚しんかいぎょの中なかに、「隠蔽種いんぺいしゅ」といって、よくにていて同おなじ魚さかなだと思おもわれてきた、じつはちがう魚さかながまじっているかもしれないことを、あらためてしめしました。