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HPVワクチンは、HPV(ヒトパピローマウイルス)というウイルスがもとで起こるがんなどを防ぐワクチンです。このワクチンを男性にも「定期接種」にするかどうか、国で話し合いが続いています。定期接種とは、国が法律にもとづいてすすめ、決められた年れいの人が決められた期間に受けられる予防接種のことです。その話し合いの流れを、時間の順に追ってみます。

始まりは2020年12月です。この月、4種類のHPVを防ぐ「4価」のHPVワクチンについて、こう門にできる「肛門がん」(男女)と、男性の「尖圭コンジローマ」の予防に使うことが、国に新たに認められました。尖圭コンジローマは、性器などにいぼができる病気です。
2024年3月には、厚生労働省の委員会が、この4価ワクチンを男性に3回接種することを前提に検討しました。効き目と安全性は一定程度確かめられたものの、「費用対効果」に課題があるとされました。費用対効果とは、かかるお金に見合うだけの効果があるかどうかということです。続く2024年5月には、男性が接種することで女性にも効果が広がることなどもふくめて、全体として評価していく方針が認められました。
2025年8月には、9種類のHPVを防ぐ9価のHPVワクチン「シルガード9」についても、こう門がん(がんになる前の段階の変化をふくむ)と、男性のせんけいコンジローマの予防に使うことが認められました。対象は9才以上の男性で、9才以上15才未満は2回または3回、15才以上は3回接種します。
そして2026年7月22日、厚生労働省の予防接種基本方針部会にあるワクチン評価に関する小委員会が、男性へのHPVワクチン接種を定期接種にするかどうかについて、これまでの流れや課題、9価ワクチンを男性に接種した場合の費用対効果をまとめた資料を示しました。
資料によると、男性が接種したときに本人を守る効果として国に認められているのは、せんけいコンジローマとこう門がんの予防です。一方、のどのおくにできる「中咽頭がん」と、男性の性器にできる「陰茎がん」については、予防の効果を示すデータが限られていて、国の承認も受けていません。また、男性が接種することで女性の「子宮頸がん」などを防ぐ効果についても、間接的なデータにとどまっています。子宮頸がんは、女性の子宮の入り口にできるがんです。安全性については、データが一定程度積み重なっていると整理されました。
費用対効果の計算は、「公的医療の立場」から見ることを基本にしています。これは、一人一人の立場ではなく、公的な医りょうの制度全体で、かかるお金と得られる効果を比べる考え方です。厚生労働省は、より精密に計算できる仕組みを作るために、国内のデータを引き続き集めていくとしています。男性への定期接種をどうするかは、こうしたデータをもとに、これからも話し合いが続きます。