1光で脳の神経をあやつる研究にノーベル賞 アメリカとドイツの3人


冬になると、花屋さんの店先や学校の入り口などに、赤やピンク、白の花をさかせるシクラメンのはちがならびます。今ならんでいるたくさんのシクラメンは、人が長い時間をかけて花の色や形を改良してきた「園芸品種」です。園芸品種とは、人が育てて楽しむためにつくり出した品種のことで、そのもとになったのが野生の原種シクラメン(学名はシクラメン・ペルシカム)です。

公益財団法人かずさDNA研究所は10月13日、この原種シクラメンの全ゲノムを、世界で初めて高精度に解読したと発表しました。埼玉工業大学、九州大学、香川大学との共同研究です。
「ゲノム」とは、生き物の体をつくるための設計図にあたる、DNAの情報全体のことです。DNAはA・T・G・Cという4種類の文字のような部品が長くつながったもので、その並び方が設計図の中身になります。原種シクラメンのゲノムの大きさは、約14億8000万「塩基対」でした。塩基対とは、DNAの文字にあたる部品が2つで1組になったもので、この組がいくつならんでいるかでゲノムの大きさを表します。研究チームは、このゲノム全体の98.1%を読み取りました。
さらに、設計図の中で体の性質を決める部分である「遺伝子」を、40,223個見つけました。その中には、シクラメンだけがもつ遺伝子のまとまりと、シクラメンがふくまれるサクラソウ科の植物に共通する遺伝子のまとまりがありました。
この研究の結果は、DNA Researchという科学の雑誌に論文として発表されました。著者は、白さわ健太さん、秋田ゆう介さん、水の江ゆう樹さん、高村武二ろうさんの4人です。
今回の解読によって、花の形・色・香りや、「塊茎」の成長にかかわる遺伝子が分かっていくと期待されています。塊茎とは、シクラメンが地下にもっている、くきがふくらんで栄養をたくわえた部分のことです。
また、新品種の開発や、効率的な「育種」にも役立つと考えられています。育種とは、性質のちがう親をかけ合わせるなどして、新しい品種をつくる仕事です。設計図全体が分かったことで、どの遺伝子がどの性質にかかわるのかを調べやすくなり、ねらった色や香りをもつ新しいシクラメンを、これまでより効率よくつくれるようになると期待されています。