冬ふゆの花はなシクラメン、原種げんしゅの全ぜんゲノムを世界せかいで初はじめて高精度こうせいどに解読かいどく

冬の花シクラメン、原種の全ゲノムを世界で初めて高精度に解読
Cyclamen persicum 出典: Photo by Bayram Yalçın on Pexels

冬ふゆになると、花屋はなやさんの店先みせさきや学校がっこうの入いり口ぐちなどに、赤あかやピンク、白しろの花はなをさかせるシクラメンのはちがならびます。今いまならんでいるたくさんのシクラメンは、人ひとが長ながい時間じかんをかけて花はなの色いろや形かたちを改良かいりょうしてきた「園芸品種えんげいひんしゅ」です。園芸品種えんげいひんしゅとは、人ひとが育そだてて楽たのしむためにつくり出だした品種ひんしゅのことで、そのもとになったのが野生やせいの原種げんしゅシクラメン(学名がくめいはシクラメン・ペルシカム)です。

冬の花シクラメン、原種の全ゲノムを世界で初めて高精度に解読
Cyclamen persicum 出典: Photo by Bayram Yalçın on Pexels

公益財団法人こうえきざいだんほうじんかずさDNA研究所けんきゅうじょは10月がつ13日にち、この原種げんしゅシクラメンの全ぜんゲノムを、世界せかいで初はじめて高精度こうせいどに解読かいどくしたと発表はっぴょうしました。埼玉工業大学さいたまこうぎょうだいがく、九州大学きゅうしゅうだいがく、香川大学かがわだいがくとの共同研究きょうどうけんきゅうです。

「ゲノム」とは、生いき物ものの体からだをつくるための設計図せっけいずにあたる、DNAの情報全体じょうほうぜんたいのことです。DNAはA・T・G・Cという4種類しゅるいの文字もじのような部品ぶひんが長ながくつながったもので、その並ならび方かたが設計図せっけいずの中身なかみになります。原種げんしゅシクラメンのゲノムの大おおきさは、約やく14億おく8000万まん「塩基対えんきつい」でした。塩基対えんきついとは、DNAの文字もじにあたる部品ぶひんが2つで1組くみになったもので、この組くみがいくつならんでいるかでゲノムの大おおきさを表あらわします。研究けんきゅうチームは、このゲノム全体ぜんたいの98.1%を読よみ取とりました。

さらに、設計図せっけいずの中なかで体からだの性質せいしつを決きめる部分ぶぶんである「遺伝子いでんし」を、40,223個見こみつけました。その中なかには、シクラメンだけがもつ遺伝子いでんしのまとまりと、シクラメンがふくまれるサクラソウ科かの植物しょくぶつに共通きょうつうする遺伝子いでんしのまとまりがありました。

この研究けんきゅうの結果けっかは、DNA Researchという科学かがくの雑誌ざっしに論文ろんぶんとして発表はっぴょうされました。著者ちょしゃは、白しらさわ健太けんたさん、秋田あきたゆう介すけさん、水みずの江えゆう樹きさん、高村武二たかむらたけじろうさんの4人にんです。

今回こんかいの解読かいどくによって、花はなの形かたち・色いろ・香かおりや、「塊茎かいけい」の成長せいちょうにかかわる遺伝子いでんしが分わかっていくと期待きたいされています。塊茎かいけいとは、シクラメンが地下ちかにもっている、くきがふくらんで栄養えいようをたくわえた部分ぶぶんのことです。

また、新品種しんひんしゅの開発かいはつや、効率的こうりつてきな「育種いくしゅ」にも役立やくだつと考かんがえられています。育種いくしゅとは、性質せいしつのちがう親おやをかけ合あわせるなどして、新あたらしい品種ひんしゅをつくる仕事しごとです。設計図全体せっけいずぜんたいが分わかったことで、どの遺伝子いでんしがどの性質せいしつにかかわるのかを調しらべやすくなり、ねらった色いろや香かおりをもつ新あたらしいシクラメンを、これまでより効率こうりつよくつくれるようになると期待きたいされています。