日本人にほんじんの大腸だいちょうがん 約半数やくはんすうに毒素どくそコリバクチンのあと 東京大学とうきょうだいがくと大阪大学おおさかだいがくの研究けんきゅうグループが発表はっぴょう

日本人の大腸がん 約半数に毒素コリバクチンのあと 東京大学と大阪大学の研究グループが発表
大腸菌 出典: Photo by Eric Erbe, digital colorization by Christopher Pooley, both of USDA, ARS, EMU. (PD / Wikimedia Commons)

みなさんが食たべた物ものは、口くちから胃いや腸ちょうを通とおる間あいだに消化しょうかされ、養分ようぶんとして体からだに吸収きゅうしゅうされます。その腸ちょうの中なかには、目めに見みえないほど小ちいさな生いき物ものがたくさんすんでいます。その多おおくはわたしたちの体からだを助たすけてくれますが、中なかには体からだによくないはたらきをするものもいます。日本にほんでは大腸だいちょうにがんができる人ひとが多おおく、近ちかごろは40歳さいより若わかい人ひとが大腸だいちょうがんになる例れいが世界せかいで増ふえていて、その理由りゆうははっきりとは分わかっていませんでした。そこで、がんになった人ひとの体からだの設計図せっけいずである遺伝子いでんしをすみずみまで調しらべ、原因げんいんのてがかりをさがす研究けんきゅうが続つづけられてきました。

日本人の大腸がん 約半数に毒素コリバクチンのあと 東京大学と大阪大学の研究グループが発表
大腸菌 出典: Photo by Eric Erbe, digital colorization by Christopher Pooley, both of USDA, ARS, EMU. (PD / Wikimedia Commons)

2026年ねん8月がつ10日とおかの午後ごご6時じ、東とう京きょう大だい学がく医い科か学がく研けん究きゅう所じょの柴田龍弘教授しばたたつひろきょうじゅと、大阪大学大学院医学系研究科おおさかだいがくだいがくいんいがくけいけんきゅうかの谷内田真一教授やちだしんいちきょうじゅの研究けんきゅうグループが、その成果せいかをイギリスの科学誌かがくしネイチャージェネティクスのインターネット版ばんで発表はっぴょうしました。柴田龍弘教授しばたたつひろきょうじゅと谷内田真一教授やちだしんいちきょうじゅの研究けんきゅうグループは、東京とうきょうと大阪おおさかで大腸だいちょうがんになった200人にんについて、体からだがもつ遺伝子いでんしの情報じょうほうを丸まるごと読よみ取とる、大おおがかりな調しらべ方かたを行おこないました。すると、とくべつな大腸だいちょうきんが作つくる毒素どくそコリバクチンが遺伝子いでんし(DNA)につけた傷きずのあと、つまり変異へんいシグネチャーが、日本人にほんじんの大腸だいちょうがんの約半分やくはんぶんにあたる44.8%で見みつかりました。さらに、40歳さいになっていない若わかい人ひとの大腸だいちょうがんにかぎると、その割合わりあいは約やく70%にのぼりました。

コリバクチンによる変異へんいは、APC、BRAF、TP53といった、大腸だいちょうがんの発生はっせいに強つよく関かかわるドライバー遺伝子いでんしにも見みられました。中なかでもAPCという遺伝子いでんしの異常いじょうは、10歳さいになる前まえの子こどものころに、すでにできてしまっている可能性かのうせいがあると分わかりました。また、この変異へんいシグネチャーは、1965年ねんより後あとに生うまれた世代せだいで多おおく見みつかりました。研究けんきゅうグループは、腸ちょうの中なかにすむ生いき物全体ものぜんたいの遺伝子いでんしをまとめて読よみ取とるメタゲノムという方法ほうほうと、AIによる調しらべ方かたも組くみ合あわせ、大腸だいちょうがんが4つのタイプ(サブタイプ)に分わけられることも明あきらかにしました。この研究けんきゅうは、2025年ねんに発表はっぴょうされた約やく1000例れい(そのうち日本人にほんじんは28例れい)の国くにじゅうをまたぐ国際共同研究こくさいきょうどうけんきゅうに続つづくもので、より多おおくの日本人にほんじんを対象たいしょうにしてたしかめた研究けんきゅうです。

今回こんかいのニュースに出でてきた言葉ことばを説明せつめいします。「大腸菌だいちょうきん」は、人ひとや動物どうぶつの大腸だいちょうにすんでいる小ちいさな生いき物もので、多おおくは害がいがありませんが、中なかには毒素どくそを作つくる種類しゅるいがいます。「コリバクチン」は、そうした大腸だいちょうきんが作つくる毒素どくそで、遺伝子いでんしを傷きずつけるはたらきがあります。「変異へんいシグネチャー」は、遺伝子いでんしについた傷きずのあとに残のこる決きまった形かたちのことで、これを読よみ取とると、何なにが原因げんいんで傷きずついたのかを見分みわけることができます。「ドライバー遺伝子いでんし」は、傷きずつくとがんが起おこる引ひき金がねになる、大切たいせつな遺伝子いでんしです。大腸だいちょうがんは大人おとなの病気びょうきだと思おもわれがちですが、今回こんかいの研究けんきゅうでは、そのもとになる傷きずが子こどものころにできている可能性かのうせいが示しめされました。腸ちょうの中なかの生いき物もののようすは、毎日まいにちの食事しょくじや生活せいかつと深ふかく関かかわっています。原因げんいんが分わかってくれば、がんを早はやく見みつけたり防ふせいだりする方法ほうほうの研究けんきゅうが進すすみます。今いまのわたしたちの食事しょくじや生活せいかつが、遠とおい未来みらいの自分じぶんの体からだとつながっていることを、あらためて考かんがえるきっかけになるニュースです。