親がちがう二種類のフグ? 海の温暖化で「雑種」のフグが増えている

2013年ごろから、東日本の沿岸で、「雑種」のフグが一度にたくさんとれる、というめずらしい現象が起きています。雑種とは、ちがう種類の親の間に生まれた子のことです。とれているのは、太平洋にすむショウサイフグと、日本海にすむゴマフグの間に生まれたフグです。すむ海がちがうはずの二種類の間に、なぜたくさんの子が生まれたのでしょうか。

原因は、海水温が上がったことです。ゴマフグはもともと、日本海を流れる暖流である対馬暖流のあたりで卵を産んでいました。ところが、日本海の温暖化によってすむ場所が北へ広がり、北海道と本州の間の「津軽海峡」をぬけて、太平洋側まで分布を広げました。そして、ショウサイフグが卵を産む場所に入りこみ、ちがう種類の間で子が生まれる「交雑」が起きたのです。2012年から2013年ごろを境に雑種が大量にとれるようになり、その組み合わせは、ショウサイフグがオスで、ゴマフグがメスという場合がほとんどです。
このことは、国立かんきょう研究所の「気候変動適応情報プラットフォーム(A-PLAT)」が、水産研究・教育機構の水産大学校の高橋洋教授へのインタビュー記事として、2025年5月20日に公開しました(取材は2024年11月25日)。記事によると、東京わんでは、トラフグ(オスが多い)とマフグ(メスが多い)の交雑も確認されています。
雑種のフグが増えて心配されるのは、食中毒です。フグには強い毒があり、食べてよい部分は種類ごとに国が定めています。たとえば、トラフグの皮は食べられますが、マフグの皮には毒があります。ところが、雑種のフグはどの部分に毒があるのかがほとんど解明されていません。まちがえて食べると食中毒になる危険があるため、今はとれてもすてるしかないのです。
国も対応を進めています。2019年には厚生労働省の通知によって、フグを安全にさばく資格を持つ人である「ふぐ処理者」の認定の基準が全国でそろえられました。あわせて、ふぐ処理者が全国の雑種フグの発生の様子を確認することも、はっきりと文書に書かれました。厚生労働省の資料「自然毒のリスクプロファイル」にも、全国の雑種をふくむ種類不明のフグの発生の様子についての情報が、新しくのせられるようになりました。
雑種のフグにどのような毒があるのかは、現在、厚生労働省の研究課題として調査が続けられています。安心して食べられるようになるかどうかは、まだ分かっていません。