2026年8月28日(金)のこどもニュース
耕されなくなった田畑 鳥が増える地域と減る地域 199か所の調査で判明

北海道の平地で、耕されなくなった田畑。そして九州で、同じように耕されなくなった田畑。どちらも人の手が入らなくなった土地ですが、そこにすむ鳥の種類の数を調べると、結果は正反対になりました。使われなくなったまま作物が作られていない田畑を「耕作放棄地」といいます。

北海道では、鳥が巣を作って子を育てる時期に、平地の耕作放棄地でくらす鳥の種類の数は、近くの整備されていない水田の約2.4倍になると見積もられました。ところが九州では逆で、同じ時期の整備されていない水田の鳥の種類の数は、耕作放棄地の約1.4倍と見積もられました。ここでいう整備とは「圃場整備」のことで、小さな田畑を、機械の作業や水の管理がしやすいように大きく作り直すことをいいます。九州では、整備されていない水田の鳥の種類の数は、整備された水田と比べても約1.8倍多いと見積もられました。
この研究は、国立環境研究所と森林総合研究所、北海道大学などの研究チームが行い、2026年7月27日にアメリカの科学の雑誌『米国科学アカデミー紀要』で発表されました。チームには、国立環境研究所の北沢宗大特別研究員や、森林総合研究所の山浦悠一チーム長らが加わっています。北海道から九州までの199か所で、耕作放棄地のほか、自然の草地、森林、整備されていない水田、整備された水田、畑を選び、子育ての時期と冬をこす時期に鳥を調べました。さらに、世界各地で行われた同じような研究の結果を集め、平均してどんな傾向があるかを調べる方法も使いました。
記録された鳥は、主にどんな場所でくらすかによって五つのグループに分けられました。ヨシなどがしげる水につかった草地の鳥、草原の鳥、森林の鳥、土がむき出しの場所の鳥、水辺の鳥です。日本各地の耕作放棄地では、合わせて87種の鳥がくらしていることが確かめられました。その中には、数が大きく減っていなくなってしまうおそれのある鳥も多くふくまれます。国内の数が300個体ほどとされるアカモズや、50個体を下回るとされるサンカノゴイが、ある耕作放棄地で子育ての時期を通して見つかりました。ほかにオオジシギやオオセッカなど7種の、数が減っている鳥の子育てや冬ごしも確かめられています。
増えるか減るかの分かれ目になっていたのは、その地域にもともと多い鳥のグループでした。ポーランドやブルガリア、子育ての時期の本州中部より南では、その地域の鳥のおよそ半数以上が、農地を主な住みかにする、土がむき出しの場所の鳥や水辺の鳥でした。こうした地域では、耕作をやめると鳥の種類の数は農地より少なくなります。反対にロシアやオーストラリア、子育ての時期の北日本、冬をこす時期の南日本では、水につかった草地の鳥や森林の鳥が多く、農地より耕作放棄地のほうが鳥の種類の数が多くなりました。土地のようすとも重なっていて、水はけが悪くヨシなどがしげる低地の耕作放棄地にはオオジシギやオオヨシキリが多く、水はけがよく樹木がしげる山地の耕作放棄地にはウグイスやシジュウカラが多く見られました。
つまり、その地域にどんなグループの鳥が多いかが分かれば、耕作をやめたあとに鳥の種類が増えるのか減るのかを予測できる、というのが今回の研究の中心です。いろいろな種類の生き物がすんでいる豊かさを「生物多様性」といいますが、耕作放棄が生物多様性にとってよいか悪いかは、世界のどこでも同じではなかったのです。
冬をこす時期には、南日本の耕作放棄地が、北日本の水につかった草地で子を育てるわたり鳥の冬の住みかになっていました。岡山県のある耕作放棄地では、2ヘクタールあたり73個体のオオジュリンが確かめられています。