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北海道教育大学くしろ校の川西りょう太じゅん教授は、せと内海の東側でとれたシログチとシロギスという魚のおびれを調べていました。すると、そこに今まで知られていなかった小さな生き物がついているのを見つけました。魚がとれたのは、あわじ島のおき、大阪わん、徳島のおきの三か所です。

川西じゅん教授はこの生き物を研究し、新しい種として、Nerocila domotoaeという学名と「チヨコバン」という標準和名をつけました。標準和名とは、日本で正式に使われる日本語の名前のことです。この研究の論文は、日本時間の2026年9月3日に日本動物分類学会の英語の雑誌「Species Diversity」でオンライン公開され、9月4日に発表されました。
見つかった生き物は、「ウオノエ科」というこうかく類の仲間です。こうかく類はエビやカニなどの仲間で、ウオノエ科はその中でもダンゴムシと同じ「等脚目」というグループに入ります。ウオノエ科は世界で46属380種以上、日本だけでも40種以上が報告されています。チヨコバンは、その中の「ウオノコバン属」という仲間に入ります。属とは、よく似た種どうしをまとめたグループのことです。
チヨコバンは、すでに知られているウオノコバンという種によく似ています。見分けるポイントは二つあります。一つは、体の後ろにある「尾肢」と呼ばれる小さなあしの内側の部分が、のこぎりの歯のようにぎざぎざしていることです。もう一つは、背中にうすい茶色の線が3本あることです。
学名の後ろの部分にあたるdomotoaeという「種小名」は、川西じゅん教授のおばあさんで、すでに亡くなった堂本千代子さんにささげた名前です。堂本さんは、大阪の海岸近くでとれるシログチにこの生き物がよく見られることを、川西じゅん教授に教えてくれた人でした。標準和名のチヨコバンも、堂本さんの名前の「千代」と、ウオノコバン属の名前のもとになっている「コバン(小判)」を組み合わせたものです。
堂本さんは生きているあいだに、川西じゅん教授といっしょにこの生き物を採集する約束をしていました。しかし、その約束はかなわないまま、堂本さんは亡くなりました。おばあさんが教えてくれた生き物は、おばあさんの名前とともに、新種として記録されることになりました。