1光で脳の神経をあやつる研究にノーベル賞 アメリカとドイツの3人


水道水や川の水から、カビのようなにおいがすることがあります。塩素をまぜて水をきれいにする「塩素処理」をした水道水や、塩素処理をした下水処理水が流れこむ川では、「クロロアニソール類」という物質が見つかることがあり、これがカビくささや変なにおいの原因になります。中でも「2,4,6-トリクロロアニソール」(2,4,6-TCA)は、とても低いこさでもにおいを感じる、代表的なにおいの原因物質として知られています。

これまで2,4,6-TCAは、主に真きん(カビのなかま)がつくると考えられてきました。けれども、水の中では細きん(バクテリア)も関わっている可能性があると考えられていました。
東京工科大学応用生物学部のうらせ太ろう教授、ごとう早希講師、木村将大助教らの研究グループは、クロロアニソール類をたくさんつくるMycolicibacterium属という細きんに目をつけました。そして、この細きんの全ゲノムを調べました。ゲノムとは、生き物の体のつくりや働きを決める情報である「遺伝子」をふくむ、すべての遺伝情報のことです。
その結果、2,4,6-TCAをつくることに関わる「O-メチルトランスフェラーゼ」というこう素を見つけました。こう素とは、生き物の体の中で、ある物質を別の物質に変える働きをするもののことです。
研究グループはさらに、このこう素の遺伝子を大腸きんに入れて働かせる実験をしました。すると、もとになる物質である「2,4,6-トリクロロフェノール」(2,4,6-TCP)から、2,4,6-TCAができることが確かめられました。
細きんが2,4,6-TCAをつくるこう素をつきとめたのは、世界で初めてです。この成果によって、細きんが2,4,6-TCAをつくるしくみの一部が明らかになりました。研究の結果は、2026年9月7日付で、国際学術誌「Water Research X」にオンラインでけいさいされました。今後は、水の中でにおいが発生する危険性を評価することへの応用が期待されています。