1東京理科大学のそあい憲三めいよ教授に2026年のノーベル化学賞


今の日本にはすんでいないチョウが、約250万年前の兵庫県を飛んでいました。そのことを教えてくれたのは、兵庫県新温泉町の化石館に約35年前から展示されてきた、1まいのチョウのはねの化石です。けいおうぎじゅく大学などの研究チームが2026年10月13日、この化石が今も生きている種類のチョウとしては世界で最も古いものだと発表しました。

化石は、新温泉町にある約250万年前の湖の地層から見つかった、長さ約42ミリメートルの前ばねです。研究チームは、このはねの形や模様の特ちょうを、シロチョウ科ミヤマシロチョウ属に今いる約40種のチョウと一つ一つ比べました。すると、「ポターニンミヤマシロチョウ」という種類とぴったり一致したのです。このチョウは今の日本にはおらず、中国の北部と北東部にだけすんでいます。つまり、今は中国にしかいないチョウが、はるか昔には日本の兵庫県にもいたことが分かったのです。
この化石を見つけたのは、新温泉町役場の職員だった馬場正男さんです。約35年前に現地の調査をしているときに発見し、町の教育委員会が管理する「おもしろこん虫化石館」に寄付しました。化石はそれ以来、化石館でずっと展示されてきました。長い間、人々の目の前にあった化石が、くわしく調べ直されたことで、世界的な発見につながったのです。
研究を行ったのは、けいおうぎじゅくようちしゃの高橋ゆい先生、けいおうぎじゅくの相場博明さん、進化生物学研究所と光洋精機株式会社のさいとう光太郎さんらの研究チームです。研究の結果をまとめた論文は、2026年7月29日に専門誌の「Journal of Paleontology」でオンラインで先に公開されました。
ここで大切なのが、「現生種」という言葉です。これは、化石として見つかった生き物のうち、同じ種類が今も地球上に生きているものを指します。チョウの化石そのものはほかにもありますが、今も生きている種類だと分かっているチョウの化石で、これまで世界で最も古かったのは、栃木県なす塩原市で見つかった約30万年前のゴマダラチョウでした。今回のポターニンミヤマシロチョウの化石は約250万年前のものなので、その記録を大きくさかのぼることになります。
約250万年前の日本にいたチョウが、今は遠くはなれた中国にだけ生き残っているという事実は、1まいの小さなはねが語ってくれた、とても大きな発見です。