2026年7月17日(金)のこどもニュース
人の「遺伝子」を書きかえる技術に、新しい法律ができます
みなさんは理科で、人が母親の体の中で受精卵から育ち、およそ38週かけて生まれてくることを学びました。魚も、受精した卵から子がかえります。生き物の体の色や形が少しずつちがうのは、体の「せっけい図」のようなものが、親から子へ受けつがれるからです。この「せっけい図」のもとになるものを「遺伝子」と言います。
近年、この遺伝子を書きかえる「ゲノム編集」という技術が発達してきました。病気を治したり、作物を育てやすくしたりと、役に立つと期待されています。しかし、もしこの技術を、人の赤ちゃんのもと(受精卵が育ち始めた、ごく小さなもの。これを「胚」と言います)に使うと、生まれてくる子どもだけでなく、その先の世代にまで、えいきょうが伝わってしまうかもしれません。そこで、どこまで使ってよいのかを決める必要が出てきました。
そこで国は、「ヒトゲノム編集胚等のとりあつかいの規制に関する法律案」という新しい法律を作ろうとしています。この法律案は、令和8年(2026年)4月10日に内閣から国会に提出されました。その後、衆議院で6月16日に、参議院の委員会で7月16日に可決され、法律になろうとしています。
この法律でいちばん大切なのは、「ゲノム編集」をした人の胚や、子どもをつくるもとになる精子や卵のもとを、人や動物のおなかの中にもどす(移植する)ことを、原則として禁止する、という点です(第3条)。このきまりを破った人には、10年以下けいむ所に入るか、1000万円以下のおかねをはらうという、とても重いばつがあり、その両方が科されることもあります(第19条)。
ただし、この法律は研究そのものを全部禁止するわけではありません。ゲノム編集した胚などを作ったり、ほかからゆずり受けたり、外国から輸入したり、使ったりする人は、前もって計画書を、国の主務大臣に届け出なければなりません(第6〜8条)。そして、その届出が受け取られてから60日がたった後でなければ、始めてはいけないと決められています。
もし届け出なかったり、うその届出をしたりすると、1年以下けいむ所に入るか、100万円以下のばつを受けます(第20〜22条)。このように、もとになる研究は届出をすればできるようにしながら、正しく安全にとりあつかえるよう、ルールを作っているのです。この法律は、正式に決まった日から1年たった後に、はたらき始めます。
最後に、難しい言葉を整理します。「遺伝子」は、体の色や形などを決める「せっけい図」のもとで、親から子へ受けつがれます。「ゲノム編集」は、その遺伝子を書きかえる技術です。「胚」は、赤ちゃんになる前の、ごく小さなもとのことです。「届出」は、何かをする前に、国などに前もって伝えておくことです。
「ゲノム編集」は、これまで治せなかった病気を治せるかもしれない、すばらしい技術です。その一方で、人の赤ちゃんのもとの遺伝子を書きかえると、その子や、さらに先の世代にまで、えいきょうがつづくため、気をつけて使う必要があります。今回の法律は、大切な研究はつづけられるようにしながら、あぶない使い方を止めようとするものです。みなさんが大人になるころ、この技術はもっと身近になっているかもしれません。だからこそ、どんなルールで使うのかを、今から考えておくことが大切です。
NVIDIAが日本で「AIファクトリー」を立ち上げへ ロボットを動かすAIを育てる大きな計算設備
みなさんは、スマートフォンに話しかけると答えてくれるAI(人工知能)を使ったことがあるかもしれません。いま世界では、画面の中だけでなく、ロボットや自動車のように実際の世界で体を動かして働くAI、「フィジカルAI」の開発が進んでいます。日本の政府は2026年3月に「AIロボティクス戦略」という計画を発表し、2040年までに世界のAIロボティクス市場の30%以上(お金にすると推定1,330億ドルの規模)を手に入れることを目標にしています。しかし、かしこいAIを育てるには、とても大きな計算の力が必要です。そこで、日本でその計算の力を用意する大きな取り組みが始まりました。
2026年7月16日、AI向けの半導体(コンピュータの頭脳になる部品)で世界的に知られる会社NVIDIA(エヌビディア)は、東京で新しい計画を発表しました。NVIDIAは、Noetra(ノエトラ)株式会社と協力し、経済産業省が支える形で、国家レベルのフィジカルAIの実現を目指す「NVIDIA Vera Rubin AIファクトリー」を立ち上げます。このAIファクトリーは、経済産業省が主導する(中心となって進める)「FRONTiaプロジェクト」に、AIを学習させるための計算の土台を提供します。そこには、13,750基以上の「NVIDIA Vera CPU」と27,500基以上の「NVIDIA Rubin GPU」が導入され、140MW(メガワット)の電力を使える大きなデータセンターがつくられます。この力で、1兆パラメータという大きな規模のAIモデルの学習を支えることができます。発表には、経済産業大臣の赤澤亮正さん、NVIDIAの創業者でCEO(会社のトップ)のジェンスン・フアンさん、Noetra株式会社の社長の丹波廣寅さんの三人のコメントもふくまれていました。
ここで、ニュースに出てきた言葉をかんたんに説明します。「フィジカルAI」は、ロボットや自動車のように、実際の世界で体を動かす機械の頭脳として働くAIのことです。「CPU」と「GPU」は、コンピュータの中で計算を受け持つ部品で、特にGPUはたくさんの計算を同時に行うのが得意なため、AIの学習に欠かせません。「データセンター」は、たくさんのコンピュータを集めて動かすための建物です。「パラメータ」は、AIの頭の中にある調整できる数のことで、多いほど複雑なことを学べます。「メガワット」は電力の大きさを表す単位で、140メガワットはとても大きな電力です。「AIファクトリー」の「ファクトリー」は英語で「工場」という意味で、工場が製品をつくり出すように、AIをつくって育てるための設備のことです。今回つくられる大きな計算の設備は、日本がロボットとAIの分野で世界の中で大きな役割を果たすための土台になります。2040年、みなさんが大人として働くころの日本を支える、大切な一歩となるニュースです。