2026年7月18日(土)のこどもニュース
シカの食べすぎで山があれた? 滋賀県のいぶき山で土石流、専門家が原因を調査
みなさんは社会科で、森林には水をたくわえたり、災害を防いだりする働きがあることを学びましたね。山に生えている草や木は、根で土をおさえ、雨水を地面にしみこませて、土砂くずれなどの災害を防いでいます。ところが、野生のシカが増えて草や木を食べすぎると、山の地面がむき出しになってしまうことがあります。滋賀県米原市にある「伊吹山」で、まさにそれが原因と考えられる災害が起きました。
林野庁は、令和6年(2024年)10月28日、いぶき山の勝山谷川で起きた「土石流」について、専門家によるきん急の現地調査の結果を公表しました。この調査は、令和6年9月12日から13日にかけて、林野庁と滋賀県、米原市、そして東京農工大学や森林研究・整備機構森林総合研究所などの専門家が合同で行ったものです。いぶき山では、令和6年7月1日の午前10時ごろ、勝山谷川で土石流が発生し、住宅2けんでゆかの上まで、2けんでゆかの下まで土砂が流れこみ、県道も一部が通行止めになりました。さらに7月15日と7月25日にも土石流が起き、被害を受けた家はのべ7けんにのぼりました。調査の結果、いぶき山の3合目から山頂にかけての上部のしゃ面は、石灰岩でできていて地質や「植生」がもともと弱い上に、シカの「食害」によって植生がおとろえ、雨水が地面にしみこむ力が低下していたことが分かりました。そこに大雨が降ったため、地面にしみこめない水が地表を流れて土をけずり、土石流が起きたと結論づけられました。また林野庁は、シカの食害が原因で山があれ、人の家にまで被害が出た報告はこれまでになく、この地区が初めてのケースになった可能性があると明記し、シカの食害への対策が大切だと述べています。今後の対策としては、「治山ダム」や砂防えんていをつくること、「山腹緑化工」で植生を回復させること、シカによる食害を防ぐことなどが提案されました。
ここで、難しい言葉を確認しましょう。「土石流」とは、大雨などで山の土砂や石が水とまざり、谷や川を一気に流れ下る現象です。「植生」とは、その土地に生えている植物全体のことです。「食害」とは、動物が植物などを食べてしまうことで起きる被害のことです。「治山ダム」や砂防えんていは、流れてくる土砂をせき止めて災害を防ぐしせつのことで、「山腹緑化工」は、山のしゃ面に草や木を植えて緑をよみがえらせる工事のことです。日本の各地では、シカが増えすぎて森林の植物を食べてしまうことが問題になっています。植物が減ると山は雨に弱くなり、今回のように人のくらしをおびやかす災害につながることが、この調査で分かりました。森を守ることは、野生動物とのつき合い方を考えることでもあり、わたしたちの安全なくらしを守ることにもつながっているのです。
小学6年生が川底で大発見! めずらしい石が研究論文に
理科の学習で、川原の石を観察したことがある人は多いでしょう。流れる水のはたらきで、川の石は運ばれ、けずられ、積もっていくことを学びましたね。実は、川に転がる石の中には、大地の歴史を知る手がかりとなる、とてもめずらしい石がまじっていることがあります。今回、みなさんと同じ小学生が野外学習の中でそうした石を見つけ、研究論文の著者の一人になるというできごとがありました。
東京都武蔵野市の成蹊小学校(校長は荻野雅先生)がある学校法人成蹊学園は、2026年3月11日、当時6年生だった小田切愛菜さんの発見について発表しました。小田切愛菜さんは2024年10月24日、理科の野外学習で、埼玉県ちちぶ郡小鹿野町にある「ようばけ」という場所を訪れ、赤平川の川底で、「コーン・イン・コーン構造」という特別なつくりをもつ、希少な「炭酸塩岩」の「転石」を発見し、採取しました。この石が国内で見つかったのは、東京都あきる野市五日市の五日市町層群に続いて2例目で、「ジオパーク秩父」とよばれるちちぶ地域では初めてのことです。研究チームがこの石をくわしく調べ、その成果は「埼玉県小鹿野町赤平川河床から発見されたcone-in-cone構造をもつ炭酸塩岩転石」という題名の論文にまとめられました。著者は宮下敦さん、小田切愛菜さん、大久保遥峰さん、村上浩康さん(早稲田大学教育学部)、狩野彰宏さん(東京大学大学院理学系研究科)の5人です。この論文は「査読」を通過し、専門の雑誌である「地学雑誌」に2025年11月30日に受理されました(発表の時点では、印刷を待っている状態でした)。小田切愛菜さんは現在、成蹊中学校の1年生です。
ここで、ニュースに出てきた言葉を説明します。「炭酸塩岩」とは、炭酸カルシウムなどの成分が固まってできた岩石のことです。「コーン・イン・コーン構造」とは、先のとがった円すい(コーン)が入れ子のように何重にも重なってできた、めずらしいつくりのことです。「転石」とは、もともとあった場所から、流れる水などによって運ばれてきた石のことです。「査読」とは、論文の内容が正しいかどうかを、ほかの専門家が読んで確かめるしくみのことで、これを通過した論文は信用できる研究として認められます。「ジオパーク」とは、貴重な地形や地層をもつ地域を、守りながら学びや観光に生かしていく取り組みや、その地域のことです。川底の石ころ一つにも、大地の長い歴史がつまっています。みなさんも、ふだんの学習や外での観察の中で「これは何だろう」とふしぎに思う心を大切にしてください。その一歩が、小田切愛菜さんのように、世界にとって新しい発見につながるかもしれません。
むし歯のある子どもの割合、どの学校でも過去最小に
みなさんは毎日、歯をみがいていますか。学校では毎年、歯や目の検査など、体の健康を調べる健康しんだんが行われています。じつは国も、全国の子どもたちの健康のようすを昭和23年度から毎年ずっと調べ続けています。それが文部科学省の「学校保健統計調査」です。今回、その最新の結果が発表され、うれしい変化が分かりました。
文部科学省は令和8年(2026年)2月13日、令和7年度の「学校保健統計調査」の結果を取りまとめて公表しました。調査は令和7年4月1日から6月30日にかけて行われました。対象は、国公私立のようち園、幼保連けい型認定こども園、小学校、中学校、義務教育学校、中等教育学校、高等学校に通う満5才から17才までの子どもたちで、全員ではなく一部を選んで調べる方法がとられました。健康状態の調査では、全体の25.4%にあたる314万3588人が調べられました。その結果、むし歯(う歯)のある子どもの割合は、ようち園が19.44%、小学校が30.83%、中学校が25.23%、高等学校が32.77%で、どの学校種でも過去最小、つまりこれまでで一番少なくなりました。小学校では、平成27年度には50.76%と半分をこえていましたが、令和7年度は30.83%まで下がりました。一方で、「裸眼視力」が1.0に満たない子どもの割合は、小学校が36.07%、中学校が59.35%、高等学校が71.51%となっていて、学校の段階が進むほど高くなっています。
ここで、記事に出てきた言葉をかくにんしましょう。「学校保健統計調査」とは、文部科学省が全国の子どもたちの体や健康のようすを毎年調べて、数字でまとめる調査のことです。「裸眼視力」とは、めがねやコンタクトレンズを使わないで測った、そのままの目の見える力のことです。今回の結果から、子どもたちのむし歯は昔にくらべて大きく減っていることが分かりました。その一方で、目の見え方については、学年が上がるほど視力1.0に満たない人の割合が高くなるという課題も見えています。毎日の歯みがきをこれからも続けるとともに、目を休ませるなど、自分の体を大切にする生活を心がけていきたいですね。