役所の人手不足をAIで解決へ 総務省がはままつ市と神戸市で実証を始めます

引っこしをしたとき、家の人が市役所や区役所の窓口で手続きをするのを見たことがあるでしょうか。役所では、住民の情報を記録したり、生活に困っている人を支えたりする大切な仕事がたくさん行われています。ところが今、日本では働く人の数が減っていて、役所でも人手不足が大きな課題になっています。そこで国が注目したのが、AI(人工知能)などのデジタル技術です。

総務省は令和8年7月9日、地方自治体の人手不足対策として、AIなどのデジタル技術の活用の仕方を検討する「地方自治体におけるAIトランスフォーメーションに関する研究会」を発足させ、第1回の研究会を開きました。研究会では、令和8年度に静岡県はままつ市と兵庫県神戸市を実証のフィールド(現場)に選ぶことを決めました。はままつ市では住民基本台帳の業務を、神戸市では生活保護の業務を対象に、手続きの流れをくわしく調べ、AIが職員の代わりをしたり手助けをしたりできるかを実際に確かめます。この2つの業務は、国が全国でやり方をそろえようとしている標準化対象20事務の中から選ばれました。はままつ市ではデジタルを担当する課や市民生活を担当する課などが、神戸市ではデジタル戦略部や生活保護を担当する課などが、実証の現場を用意します。また、実証をそばで手助けする事業者としてPwCコンサルティング合同会社が参加し、AIサービスを提供する事業者はこれから選ばれます。制度を担当する国の役所としては、総務省のほかに厚生労働省も関わります。具体的には、引っこしてきた人の転入の手続きや、生活保護を新しく受け始めるときの新規認定の手続きで、職員の確認作業をAIがサポートする仕組みや、AIエージェントの活用も検討の対象とされています。
ここで、ニュースに出てきた難しい言葉を説明します。「住民基本台帳」とは、だれがどこに住んでいるかなど、住民の情報を市区町村が記録した帳面のようなものです。「生活保護」とは、収入が少なく生活に困っている人が暮らしていけるように、国や自治体がお金などで支える制度です。「標準化対象20事務」とは、国が全国の市区町村でやり方をそろえることに決めている20種類の仕事のことです。「実証」とは、実際に試して、うまくいくかどうかを確かめることです。「AIエージェント」とは、人の指示を受けて、自分で考えながら一連の作業を進めてくれるAIのことです。役所の仕事をAIが手助けできるようになれば、手続きの待ち時間が短くなったり、職員が人にしかできない相談などの仕事に力を注げるようになったりすることが期待できます。みなさんの住む町の役所の仕事がこれからどう変わっていくのか、注目してみてください。