2026年7月26日(日)のこどもニュース
AIで台風の進路予測がもっと正確に 気象研究所が研究成果を発表

夏から秋にかけて、日本には毎年たくさんの台風がやってきます。台風は大雨や強風で災害を起こすことがあるので、どこへ進むのかをできるだけ早く、正しく知ることがとても大切です。これまでの天気予報は、空気の動きなどをスーパーコンピュータで細かく計算する数値予報モデルという方法で作られてきました。ところが最近、大量のデータから自分で学ぶAI(人工知能)の技術が大きく進み、天気予報の世界でも使われ始めています。

気象庁気象研究所の山口むねひこさん(台風・災害気象研究部の研究室長)は、2024年12月17日に開かれた令和6年度気象研究所研究成果発表会で、AIを使った台風予測の研究を発表しました。山口むねひこさんは、Pangu-Weather(パングーウェザー)というAI気象モデルを使って台風の進路を予測し、2021年から2023年までに発生した全部で64個の台風で結果を確かめました。すると、AI気象モデルは従来の数値予報モデルよりも予測の誤差が小さく、2日先の予測では誤差が19%も小さくなりました。急に進む向きを変えたり、円をえがくように進んだりする特異な進路の台風でも、従来の技術と同じかそれ以上の精度が出ました。さらに、従来のモデルには、台風が向きを変えた後の進む速さを実際よりおそく予測してしまうくせがありましたが、AI気象モデルではこのくせがやわらぎました。一方、台風の強さの予測について、気象研究所は2019年3月からTIFSという方法を運用しています。これは気圧や風など26個のデータをもとに、機械学習で台風の強さを予測する方法で、海の状態を計算する海洋モデルと組み合わせると、台風の中心気圧の予測誤差がおよそ10%減りました。ただし、AI気象モデルは進路の予測は得意でも、強さの予測にはまだ課題が残っているそうです。この研究は、2026年5月に開かれた、地球や宇宙の研究者が集まる学会の日本地球わく星科学連合大会でも講演されました。
ここで、ニュースに出てきた言葉を確認しましょう。「数値予報モデル」は、空気の動きなどを物理の法則にもとづいてスーパーコンピュータで計算し、未来の天気を予測するしくみです。「機械学習」は、コンピュータが大量のデータからきまりを自分で見つけ出す技術のことです。「AI気象モデル」は、過去の気象データをこの技術で学んで天気を予測する新しいしくみで、Pangu-Weatherはその一つです。「TIFS」は、機械学習を使って台風の強さを予測する気象研究所の方法です。台風の進路や強さが今よりも正確に分かるようになれば、みなさんの家や学校でも早めに備えたり、安全な行動をとったりしやすくなります。AIと従来の技術が力を合わせることで天気予報がさらに進歩し、台風による災害から多くの命を守ることにつながっていくでしょう。
役所の人手不足をAIで解決へ 総務省がはままつ市と神戸市で実証を始めます

引っこしをしたとき、家の人が市役所や区役所の窓口で手続きをするのを見たことがあるでしょうか。役所では、住民の情報を記録したり、生活に困っている人を支えたりする大切な仕事がたくさん行われています。ところが今、日本では働く人の数が減っていて、役所でも人手不足が大きな課題になっています。そこで国が注目したのが、AI(人工知能)などのデジタル技術です。

総務省は令和8年7月9日、地方自治体の人手不足対策として、AIなどのデジタル技術の活用の仕方を検討する「地方自治体におけるAIトランスフォーメーションに関する研究会」を発足させ、第1回の研究会を開きました。研究会では、令和8年度に静岡県はままつ市と兵庫県神戸市を実証のフィールド(現場)に選ぶことを決めました。はままつ市では住民基本台帳の業務を、神戸市では生活保護の業務を対象に、手続きの流れをくわしく調べ、AIが職員の代わりをしたり手助けをしたりできるかを実際に確かめます。この2つの業務は、国が全国でやり方をそろえようとしている標準化対象20事務の中から選ばれました。はままつ市ではデジタルを担当する課や市民生活を担当する課などが、神戸市ではデジタル戦略部や生活保護を担当する課などが、実証の現場を用意します。また、実証をそばで手助けする事業者としてPwCコンサルティング合同会社が参加し、AIサービスを提供する事業者はこれから選ばれます。制度を担当する国の役所としては、総務省のほかに厚生労働省も関わります。具体的には、引っこしてきた人の転入の手続きや、生活保護を新しく受け始めるときの新規認定の手続きで、職員の確認作業をAIがサポートする仕組みや、AIエージェントの活用も検討の対象とされています。
ここで、ニュースに出てきた難しい言葉を説明します。「住民基本台帳」とは、だれがどこに住んでいるかなど、住民の情報を市区町村が記録した帳面のようなものです。「生活保護」とは、収入が少なく生活に困っている人が暮らしていけるように、国や自治体がお金などで支える制度です。「標準化対象20事務」とは、国が全国の市区町村でやり方をそろえることに決めている20種類の仕事のことです。「実証」とは、実際に試して、うまくいくかどうかを確かめることです。「AIエージェント」とは、人の指示を受けて、自分で考えながら一連の作業を進めてくれるAIのことです。役所の仕事をAIが手助けできるようになれば、手続きの待ち時間が短くなったり、職員が人にしかできない相談などの仕事に力を注げるようになったりすることが期待できます。みなさんの住む町の役所の仕事がこれからどう変わっていくのか、注目してみてください。
「飛鳥・藤原の宮都」が日本で27件目の世界遺産に登録されました

みなさんは社会の授業で、聖徳太子や大化の改新など、天皇を中心とした国づくりについて学びましたね。その国づくりの中心となったのが、今の奈良県にあった飛鳥やふじ原と呼ばれる場所です。そこには、古代の日本の国の形がつくられていったころの宮のあとが、今も大切に残されています。

令和8年(2026年)7月26日、内閣総理大臣の高市早なえ首相は、「飛鳥・藤原の宮都」が日本で27件目の世界遺産として登録されたことを受けて、メッセージを発表しました。この遺産は、「飛鳥宮跡」や「藤原宮跡」をはじめとする19の構成資産から成り立っています。6世紀から8世紀にかけて日本列島で生まれ、後の時代にも大きな文化のえいきょうをあたえた、古代国家の宮都の考古学的な遺せき群です。東アジアで古代国家が形づくられた時期に、中央集権のしくみがどのように生まれ、成立していったのかを、二つの宮都のうつり変わりを通して具体的に示す文化遺産として、世界のだれにとっても大切な特別の価値が認められました。高市早なえ首相はメッセージの中で、長い間この遺産の保護と受けつぎに力をつくしてきた奈良県の地元の関係者に、お祝いと敬意の気持ちを伝えました。そして高市早なえ首相は、「日本の宝から世界の宝となった」この文化遺産を確実に守り、次の世代へ引きついでいく決意を表明しました。
ニュースに出てきた「宮都」とは、天皇の住まいである宮と、政治の中心である都を合わせた言葉です。「中央集権」とは、国の政治の力を一つの中心に集めて、国全体をまとめて治めるしくみのことです。「遺跡」とは、むかしの建物や人々の生活のあとが残っている場所のことです。また「世界遺産」とは、世界中の人々にとって大切な宝物として、未来へ残していくことが認められた自然や文化財のことです。教科書の中で学んできた古代の国づくりの場所が、世界の宝として認められました。この宝物を次の時代へ引きついでいくのは、これから大人になっていくわたしたち一人一人です。奈良県をおとずれる機会があれば、千年以上前の人々のいとなみをぜひ感じてみてください。