川にたおれた木が魚の子どもを育てていた 東北大学などが発表

川にたおれこんだ木は、流れをふさぐじゃまものに見えるかもしれません。ところが、この「倒木」が川の生き物のすみかを支える大切な働きをしていることが、新しい研究で分かりました。東北大学の宇野ひろみじゅん教授たちの研究グループが、北海道大学の根岸教授や岸田教授、東京大学と協力して調べ、2026年8月18日に発表しました。

なぜたおれた木が生き物を支えるのでしょうか。研究グループは、北海道北部にある北海道大学のうりゅう研究林を流れるブトカマベツ川で調査しました。この川のまわりには、増水すると川の水があふれて広がる「氾濫原」と呼ばれる土地が、人の手がほとんど入っていない自然に近い姿で残っています。また、川沿いには「渓畔林」と呼ばれる森が広がっています。
調査では、約10キロメートルの川沿いを、水が増えたときと少ないときの二回、ドローンで空からさつえいしました。そして水辺を、いつも水が流れる場所、増水のときだけ流れる場所、いつも水が止まっている場所に分けました。さらに、水が少ないときに10キロメートルを歩いて、たおれた木がどこにあるかも調べました。
その結果、約10キロメートルの間に、たおれた木が631本、木が川の流れなどで寄せ集まってできた「ログジャム」が77か所ありました。また、いつも水が流れる「分流」が19、増水のときだけ水が流れてふだんは池のようになる「よどみ」が29、いつも水が止まっている池が38ありました。そして、たおれた木が多いところほど、よどみや池が多く集まっていました。
よどみや池は、川の本流に比べると面積は小さいものの、そこを主なすみかにしている水生生物がたくさんいました。大人になると本流で見られるイワナやイトウも、子どもの魚の大半はよどみや池で暮らしていたのです。
これまで川沿いの森には、魚のかくれ場所や日かげをつくったり、えさを落としたりする直接の働きが知られていました。今回の研究で、森からたおれこんだ木が川の地形を複雑にし、複雑な水の流れをつくって、多様な生き物のすみかを生み出すという、もう一つの働きがあることが分かりました。
この研究の論文は、8月12日付で科学雑誌「Ecosphere」にのりました。研究はJSPS科研費という国の研究のためのお金の支えを受けて行われました。研究グループは今後、川の生態学や森林の生態学、地形学、水の流れの学問などの専門家が集まる国際研究チームをつくり、ブトカマベツ川をモデルにさらにくわしく調べる予定です。