クワガタの数かずで森もりの様子ようすを知しる メスでオスをさそう新あたらしい調査法ちょうさほうを岐阜県ぎふけんの林業地りんぎょうちで検証けんしょう

クワガタの数で森の様子を知る メスでオスをさそう新しい調査法を岐阜県の林業地で検証
ルリクワガタ 出典: Frank.Vassen (CC BY 2.0 / Flickr)

ルリクワガタ類るいという小ちいさなクワガタの仲間なかまは、幼虫ようちゅうのときはブナやナラなどの広葉樹こうようじゅのかれてくさった木きの中なかで育そだち、成虫せいちゅうになると木きの上うえで新芽しんめを利用りようしてくらします。このように広葉樹こうようじゅの森もりとつながりの深ふかい生いき物ものなので、ルリクワガタ類るいがどれくらいいるかを調しらべれば、その森もりが生いき物ものにとってどんな場所ばしょなのかを知しる目印めじるしになると期待きたいされています。木材もくざいを切きり出だして使つかいながら、森もりにすむ生いき物ものの豊ゆたかさである「生物多様性せいぶつたようせい」も守まもっていくためには、森もりの生いき物ものが木きの切きり方かたや森もりの管理かんりの仕方しかたにどう反応はんのうするかを、数かずではっきりとらえる方法ほうほうが必要ひつようだからです。

クワガタの数で森の様子を知る メスでオスをさそう新しい調査法を岐阜県の林業地で検証
ルリクワガタ 出典: Frank.Vassen (CC BY 2.0 / Flickr)

ところが、これまでのルリクワガタ類るいの調しらべ方かたには課題かだいがありました。見みつけられる数かずが調しらべる人ひとの腕前うでまえによって変かわってしまううえに、幼虫ようちゅうが育そだつくさった木きをこわしてしまうこともあったのです。

そこで時任ときとうみのり助教じょきょうらの研究けんきゅうグループは、2021年ねんに新あたらしいわなを提案ていあんしました。助教じょきょうとは、大学だいがくなどで研究けんきゅうや教育きょういくをする先生せんせいのことです。このわなは、メスのルリクワガタを使つかってオスをさそい、飛とんできたオスをつかまえる仕組しくみで、英語えいごの名前なまえを短みじかくして「F-FIT」と呼よばれています。メスでオスをおびき寄よせることから、"ハニートラップ"というあだ名なもついています。決きまった時間じかんにどれだけつかまったかを数かぞえれば、調しらべる人ひとの腕前うでまえに関係かんけいなく、場所ばしょごとの数かずを比くらべられます。

研究けんきゅうグループは今回こんかい、このわなを岐阜県ぎふけんのひだ市しにある広葉樹こうようじゅの林業地りんぎょうちに複数設置ふくすうせっちしました。林業地りんぎょうちとは、木材もくざいにするための木きを育そだてて切きり出だしている森もりのことです。そして、それぞれのわなでつかまえた数かずを、わなを置おいた場所ばしょの位置情報いちじょうほうと結むすびつけて調しらべました。

その結果けっか、森もりの内部ないぶに入はいるほどつかまる数かずが多おおくなりやすいことが見みえてきました。また、一定いっていの広ひろさにどれだけ木きが立たっているかを表あらわす「立木密度りゅうぼくみつど」とつかまる数かずとの関係かんけいは、場所ばしょによってちがう可能性かのうせいも示しめされました。ルリクワガタ類るいをつかまえた数かずを、森もりの生いき物もののすみやすさを表あらわす目印めじるしとして使つかえることが分わかったのです。

この結果けっかから研究けんきゅうグループは、森もりのそれぞれの場所ばしょで木きをどう切きり、どう管理かんりするかだけでなく、木材もくざいを運はこび出だすための設備せつびや丸太まるたを集あつめておく集積場しゅうせきじょう、木きを運はこび出だす道みちなどをつくるときに一時的いちじてきにできる開ひらけた空間くうかんと、まわりに残のこす森もりとの位置関係いちかんけいを考かんがえることが大切たいせつだと指摘してきしています。

研究けんきゅうグループは今後こんご、調しらべる場所ばしょの規模きぼを広ひろげてさらに検証けんしょうを重かさね、実際じっさいの森林管理しんりんかんりにこの方法ほうほうを取とり入いれていくことを目指めざしています。この研究けんきゅうの成果せいかは、2026年ねん9月がつ6日むいかに世界せかいの研究者けんきゅうしゃが読よむ学術誌がくじゅつし「Forest Ecology and Management」にオンラインで発表はっぴょうされました。