1光で脳の神経をあやつる研究にノーベル賞 アメリカとドイツの3人


海や川などの水の中には、目に見えないほど小さなプラスチックのかけらが広がっていると考えられています。「ナノプラスチック」と呼ばれるもので、大きさは1マイクロメートル未満です。1マイクロメートルは1ミリメートルの1000分の1なので、ナノプラスチックはそれよりもさらに小さいということになります。水の中の生き物や人の体へのえいきょうも心配されています。

ところが、このナノプラスチックを見つけるのはとても難しいのです。マイクロプラスチックなら、光学けんび鏡などで調べることができます。しかしナノプラスチックは小さすぎて、これまでの方法では簡単に見つけられませんでした。
この問題に取り組んだのが、東京科学大学工学院電気電子系のとうま真奈じゅん教授らの研究グループです。研究グループは、水の試料をくわしく調べてナノプラスチックを探すのではなく、ナノプラスチックを最初からつかまえるという発想に変えました。
注目したのは、ポリスチレンという種類のプラスチックに結合する「ペプチド」です。ペプチドとは、タンパク質の短い断片のことです。研究グループはこのペプチドをセンサーの表面に固定しました。ナノプラスチックがペプチドに結合すると、センサーの表面で光の反射が変わります。この変化を測ることで、ナノプラスチックがつかまったことが分かるという仕組みです。
実験では、直径50ナノメートルのポリスチレンのつぶを、複雑な作業をしなくても20分以内に検出できることを実証しました。さらに、光の反射の変化を測るだけでなく、電子けんび鏡でナノプラスチックが実際にセンサーの表面についていることも確かめ、センサーが考えたとおりの仕組みで働いていることを示しました。
また、不純物の少ない実験室の水だけでなく、さまざまな物質がふくまれる水そうや池の水を使った試験でも、センサーが働くことを確かめました。
この研究を始めたきっかけは、ペットボトルなどに使われるPETというプラスチックを分解する細きんが、日本国内のリサイクル工場で見つかったという報告に、研究グループが興味を持ったことでした。この細きんは、人工物であるPETを分解するこう素を持っていると報告されています。
ただし、課題も残っています。実際の自然の中の水では、水質によって検出の感度が変わるなど、まだ解決すべき点があります。
今後改良が進めば、海や川などの水の中のナノプラスチックを、より手軽に調べる技術につながると期待されています。将来は、生き物の体から取った試料など、もっと複雑な試料への応用も考えられています。

1998年、つくば大学のやなぎさわ正史教授は、脳の中に新しい物質を発見しました。「オレキシン」と名づけられたこの物質は、「神経ペプチド」と呼ばれる、神経の働きに関わる物質の一つです。オレキシンには、目を覚ました状態を保つ働きがあります。

翌年の1999年、やなぎさわ正史教授は、オレキシンをもたないマウスを調べました。マウスは実験に使う小さなネズミです。すると、このマウスには「ナルコレプシー」という病気に似た様子が見られました。ナルコレプシーは、ねむりすぎてしまう「過眠症」という病気の一つです。
一方、アメリカのスタンフォード大学のEmmanuel Mignot教授は、ナルコレプシーの病気の人を調べました。その結果、脳とせきずいのまわりにある「脳脊髄液」という液の中で、オレキシンの量が少なくなっていることを報告しました。
マウスの実験と、病気の人を調べた結果から、オレキシンが足りなくなるとナルコレプシーが発病することが明らかになりました。
9月9日、やなぎさわ正史教授とEmmanuel Mignot教授が、2026年の「アルバート・ラスカー基礎医学研究賞」を受賞したことが発表されました。医学の研究に対しておくられる賞で、受賞の理由は、目を覚ました状態を保つ神経ペプチドであるオレキシンを発見したことと、オレキシンが足りなくなることで過眠症のナルコレプシーが発病するしくみを解明したことです。
授賞式は9月17日に、アメリカのニューヨーク市内で開かれる予定です。

世界の91か国・地域から、約76万人の生徒が参加しました。これは、「PISA2025」という国際的な学力調査を受けた生徒の数です。日本からは、全国の高等学校などの1年生のうち、国際的なルールにもとづいて選ばれた183校、約6,500人が参加しました。

PISAは、OECD(経済協力開発機構)という国際的な組織が行っている調査で、生徒が学校で学んだ知識を、実際の生活の中でどれだけ使えるかを調べるものです。2025年の調査は、2025年6月から8月にかけて行われました。
文部科学省と国立教育政策研究所は、2026年9月8日、この調査の結果を公表しました。日本は、科学コンピテンシー、読解力、数学的リテラシーの3つの分野すべてで、OECD加盟国の中で1位になりました。3分野すべてで1位になるのは、調査が始まって以来、初めてのことです。「科学コンピテンシー」は、科学の知識を使って考えたり説明したりする力のことで、2025年の調査から「科学的リテラシー」という名前が変わりました。「数学的リテラシー」は、数学の知識を生活の中で使う力のことです。
日本の平均得点は、科学コンピテンシーが538点(OECD平均は482点)、読解力が503点(同461点)、数学的リテラシーが525点(同463点)でした。OECD加盟国以外もふくめた全参加国・地域の中では、科学コンピテンシーが5位、読解力が4位、数学的リテラシーが5位でした。
今回初めて行われた「ラーニング・イン・デジタルワールド(LDW)」という新しい分野でも、日本はOECD加盟国中1位、全参加国・地域中では4位でした。LDWは、デジタルな世界の中で学ぶ力を調べる分野です。
一方で、気になる結果もありました。読解力の平均得点は、前回2022年の調査から13点下がりました。これは、ぐうぜんの差とは言えないほど、はっきりした低下です。また、3分野すべてで、得点の低い生徒の割合がはっきりと増えました。得点の高い生徒の割合には、はっきりした変化はありませんでした。
LDWについて今回公表されたのは、一部の結果です。自分で学び方を調整しながら学ぶ「自己調整学習」などもふくめたLDW全体の結果は、2027年に公表される予定です。