1光で脳の神経をあやつる研究にノーベル賞 アメリカとドイツの3人


鉄道の線路や広い道路の下を、くぐりぬけるようにつくられた道があります。車で走ると、いったん坂を下り、低いところを通って、また坂を上ります。こうした道を「アンダーパス」といいます。道と道が立体的に交差するので、信号で止まらずに通れるという便利さがあります。

ところが、アンダーパスにはこわい面もあります。周りより低い場所なので、大雨がふると雨水が集まり、道が水につかってしまうのです。道路が水におおわれることを「冠水」といいます。手前の坂を下っているドライバーからは、低いところにどれくらい水がたまっているのか分かりにくく、気づいたときには車が水の中に入ってしまうことがあります。
こうした事故を防ぐため、国土交通省道路局は2026年10月6日、アンダーパスが水につかる事故を防ぐための「ガイドライン」を作って公表しました。ガイドラインとは、対策の進め方をまとめた手引きのことです。
ガイドラインが大切にしているのは、一つの対策だけにたよらず、いくつもの対策を重ねる「多重防御」という考え方です。具体的には、三つの対策を組み合わせます。一つ目は、大雨が予想されるときに前もって通行止めにしたり、道が水につかり始めたらすぐに通行を止めたりする対策です。二つ目は、車がアンダーパスに入ってこないようにする対策です。三つ目は、たまった水を外へ出す仕組みをきちんと働かせることです。
さらに、「フェールセーフ」という考え方も取り入れました。機械の故障などふだんとちがうことが起きたときに、危険な状態ではなく、安全な状態のほうへ切りかわるようにしておく考え方です。何かがうまく働かなくなっても、人が危険な目にあわない側に動くようにしておくのです。
これらの対策を一言で表したスローガンが「冠水する前に止める、入らせない」です。水がたまってから対応するのではなく、道が水につかる前に通行を止め、車を入らせないことを目指しています。
ガイドラインが作られた背景には、2026年8月に千葉県で起きた大雨をはじめとする各地の大雨があります。アンダーパスが水につかり、人がけがをしたり車がこわれたりする事故が相次いだのです。

農林水産省は2026年9月30日、東京都中央卸売市場に出荷される野菜の育ち具合と、10月の価格の見通しを発表しました。「中央卸売市場」とは、産地から運ばれてきた野菜や魚などが、店に並ぶ前に売り買いされる大きな市場のことです。

発表によると、10月は、はくさい・レタス・ブロッコリー・きゅうり・なす・トマト・ピーマンの価格が平年を上回る見通しです。「平年」とは、いつもの年のだいたいの水準のことです。反対に、ばれいしょ(じゃがいものこと)とたまねぎは平年を下回る見通しです。だいこん・にんじん・ねぎ・さといもは平年並みと見られています。
では、野菜の値段はどうやって決まるのでしょうか。かぎをにぎるのは、市場に運ばれてくる野菜の量です。産地の天気が悪くて野菜がうまく育たないと、市場に出荷される量が減り、値段は上がります。反対に、育ちが順調で出荷される量が多いと、値段は下がります。
今回の発表は、まさにこの流れで説明できます。たとえばレタスは、長野県産と群馬県産で、9月の長雨と日照不足のために育ちが悪くなったり、売り物にできる分が減ったりしています。そのため10月の出荷数量は平年を下回り、価格は平年を上回って進むと見られています。
キャベツは、10月前半は平年並みですが、10月後半は出荷数量が平年を下回り、価格はやや平年を上回る見通しです。
一方、ばれいしょとたまねぎは、北海道産の育ちが順調で、大玉が多くなっています。そのため出荷量は平年を上回り、価格は平年を下回ると農林水産省は見ています。

アメリカのニューヨーク州で、はしかが広がっています。はしかは、人から人へとてもうつりやすい病気です。7月15日からあとだけで、ワクチンを受けた人の割合が低い農村地域にある18の郡で、合わせて92人がはしかにかかったことが確認されました。

10月3日の時点で、ニューヨーク州全体ではしかにかかったと確認された人は108人になりました。内わけは、ニューヨーク市で7人、ニューヨーク市以外の地域で101人です。
この広がりを受けて、10月5日、ニューヨーク州のキャシー・ホークル知事は、州全体を対象に「災害非常事態」を宣言する行政命令を出しました。災害非常事態の宣言とは、大きな災害が起きたときと同じように、州が特別な体制をとって人々を守ることを決めるものです。行政命令は、知事が出す命令のことです。
この行政命令によって、ワクチンを接種できる人が増えました。救急救命士や上級の救急隊員、「薬剤師」(薬の専門家)、助産師(赤ちゃんが生まれるときに手助けをする人)も、ワクチンを接種できるようになりました。また、看護師も、はしかの検査を指示できるようになりました。
地方の保健当局は、すでに「MMRワクチン」を1000回以上接種しています。MMRワクチンとは、はしか、おたふくかぜ、風しんの三つの病気を一度に防ぐワクチンです。2回接種すると、はしかを97%防ぐ効果があります。
ホークル知事は「ワクチンで防げる病気で、病気が重くなったり、亡くなったりすることがあってはなりません」と述べています。

東京科学大学は9月17日、カロリーの高い食事を続けると脳のはたらきが落ちる仕組みを、分子のレベルで明らかにしたと発表しました。この研究はてい京大学と共同で行ったもので、論文は9月12日に Molecular Psychiatry という専門の雑誌に発表されました。

この研究のかぎになるのは「認知機能」です。認知機能とは、物をおぼえたり、考えたり、判断したりする脳の力のことです。カロリーをとりすぎると、なぜこの力が弱まるのでしょうか。東京科学大学の研究チームは、高カロリーの食事をあたえたマウスを調べ、体の中で起きている変化を順番に明らかにしました。
まず、カロリーをとりすぎると、インスリンという物質の信号を通じて、PPARγ という物質のはたらきがおさえられます。すると、PQBP1 という物質が作られる量が減ります。PQBP1 が減ることが出発点となって、「シナプス」を作っている分子に異常が起きます。シナプスは、神経と神経の間で信号を受けわたすつなぎ目です。シナプスがうまくはたらかなくなると、神経がつながってできている回路のはたらきが低下し、その結果、認知機能が下がるのです。
食べすぎが PQBP1 の減少を通してシナプスに異常を起こし、脳の神経回路のはたらきを弱めることを明らかにしたのは、世界で初めてです。
仕組みが分かると、治す方法も見えてきます。東京科学大学の研究チームは、PPARγ のはたらきを高める薬に注目しました。これは「糖尿病」の薬として、すでに市販されているものです。糖尿病は、血液の中の糖が多くなりすぎる病気です。この薬や、PQBP1 をねらった「遺伝子治療」を高カロリー食のマウスに行うと、シナプスの障害と認知機能の低下が改善しました。遺伝子治療とは、遺伝子にはたらきかけて病気を治す方法です。
PQBP1 は、知的障害やアルツハイマー病に関わることが知られている物質です。今回の研究は、食べすぎによる認知機能の低下を治す方法につながる可能性を示しています。

南極の氷の中には、5000台をこえる「検出器」がうめられています。検出器とは、目に見えないものが来たしるしをとらえる装置のことです。氷の中にならんだ検出器が、宇宙から飛んでくる小さなつぶを待ち受けています。

この装置を使った実験は、IceCube実験と呼ばれています。ねらいは「ニュートリノ」をとらえることです。ニュートリノはとても小さなつぶで、物をすりぬけてしまうため、見つけるのがむずかしいものです。IceCube実験は14カ国の研究者が集まった国際チームで進められていて、日本からは千葉大学がただ一つの機関として参加しています。
2026年10月6日、千葉大学のハドロン宇宙国際研究センターは、IceCube実験の功績によってフランシス・ハルゼン氏が2026年のノーベル物理学賞を受賞することが発表されたと公表しました。千葉大学のチームは、よし田滋教授と石原安野教授が中心になって、この実験に参加してきました。
IceCube実験は、これまでに世界で初めてのことをいくつも成しとげてきました。2012年には、宇宙から来た高エネルギーのニュートリノを世界で初めて検出しました。2018年には、ニュートリノを放っている天体を初めて特定しました。2021年には「グラショー共鳴」という、ニュートリノが起こす特別な反応を初めて検出しました。
千葉大学チームは、2026年に完成するIceCubeのアップグレードで、新型の検出器の開発と製造に中心的な役割を果たしています。さらに、将来の実験であるIceCube-Gen2でも中心となって活動する予定です。